スチャラカランナーの日々

運動部経験なし、40代マラソンランナーの趣味日記。ランニングも趣味のひとつですから。

「東京百鬼」浦山 明俊/著

2006年05月16日 | 
 「東京百鬼」浦山 明俊/著読みました。

 もともとライター業をしていたらしい、著者の初の小説集です。5編の短編を収録しています。
 いずれも実際に現在も活躍している陰陽師「石田 千尋」さんを主人公にした作品です。実は実在のと解説や帯にあるので、実在と書きましたが正直言うと、石田さんと言う陰陽師のことは全く知りません。

 文庫の解説で書いているほどに信じられないような達者さとは思いませんが、それなりに楽しめる小説集であるとは思います。

 現存の人物を主人公に据えていることや陰陽道に関する記述などを考えると恐らく、著者は何らかの形で主人公である石田さんと知り合い、構想を得たのではないかと思われます。

 私にはこの石田さんに関する知識が全くありませんので、現代を舞台にして架空の人物を設定されているのと変わる所はありませんが、少々気になるのはこういった本が現存する人物を、ありがたみのある人物として描くことで、本来フィクションであるはずのものにもかかわらず、PR誌になりかねないと言うことです。

 帯や解説はちょっとほめすぎだとは思いますが、それなりに楽しめると思います。推薦もちょっとやりすぎるとどうなのか。

 ところで一つ疑問がありますが、自分を主人公に小説をという、もしくは石田氏自ら語ったものを文章にしたものがこの作品の骨格になっていないかと言うことです。

 実際はどうなんでしょうか?
 
 「陰陽師 安倍晴明と蘆屋道満」繁田 信一/著などを読むと、何故「安倍清明」が一人陰陽師として超人的な存在として知られるようになったのかなどのことが書いてありますが、この本はどうなのでしょうか?