司法書士のオシゴト

会社にかかわる登記を中心に素朴なギモンにお答えします♪ 

権限を証する書面 その1

2012年10月17日 | 商業登記

おはようございます_(_^_)_

本日は、ちょっと昨日までのお題と関連するオハナシでございます。
またまた、以前あった案件のコト。

どんな案件かと言いますとね。。。
転換社債型新株予約権付社債の発行でございます。

再三で恐縮ですが、一応、ザックリと説明しますと、転換社債型新株予約権付社債というのは、新株予約権を行使する際に社債が現物出資されるというモノ。
新株予約権の行使に際して現金が出資されることはありません。
新株予約権が行使されるときは、必ず社債が出資の目的となり、社債が償還されてしまえば、もはや新株予約権を行使することはできない。。。という切っても切れない関係。

新株予約権という制度が出来る前の「転換社債」ですね。

で、ご依頼いただいた転換社債型新株予約権付社債の発行案件。。。会社法施行直前に発行されたモノでした。
会社法施行の前後では、社債に付された新株予約権じゃない普通の新株予約権は考え方が少し変わりましてね。。。
転換社債型新株予約権付社債についても同様に若干考え方が変わったようでして、登記の添付書類に関しても、現在とは少し異なるのですけれども、ワタシとしては、結構ビビったことがあり、ま、またしても「ちなみにバナシ」でございます ^_^;

現在、新株予約権を有償発行する場合、払込期日と新株予約権の発行日が同日(またはそれ以降)であれば、登記の際、払い込みがあったことを証する書面の添付は不要とされています。。。(会社法施行前は証する書面の添付が必要でした。)
実務上、これはとっても有難いことですよね~♪
「払込金保管証明書」とは言わないまでも、やっぱり、会社以外の第三者が払い込みをされるのですから、証明書の添付はとっても面倒なのです。

では、転換社債型新株予約権付社債はどうなっているか。。。というと、大体同じです。
新株予約権は必ずタダ!なのですけれども、社債に関しては、会社法施行前は払い込みがなければ成立しないと解されていたので、登記の際も「社債の払い込みをしたことを証する書面」の添付が必要でした。

そして、現在。
新株予約権の有償発行と同じように、社債の払い込みが社債の成立要件ではなくなった。。。ということらしく、社債の払込期日が転換社債型新株予約権付社債の発行日と同日(またはそれ以降)ならば、払い込みをしたことを証する書面の添付は不要とされています。

。。。というわけで、前置きがとても長くなりましたけれども、問題の案件は、会社法施行の数か月前に発行されましたので、社債の払い込みがあったことを証する書面の添付が必要だったのであります。

社債権者が特に大勢というわけではなかったので、証明書の準備も特別大変じゃない。。。かと言いますと、まぁ~これが、聞いたことがないようなオハナシでしてねぇ~。。。
今だって同じようなコトはあるのでしょうけど、添付書類じゃなくなったもんなぁ~。。。

では、続きはまた明日♪

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外国会社の電子公告調査

2012年10月16日 | その他会社法関連

おはようございます。

先日、ご相談がありましてね。。。
またしても、備忘録でございます^^;

外国会社サンなのですが、公告方法は電子公告の方法を採用しています。
お問い合わせの内容は「電子公告によって決算公告をした場合、電子公告調査会社の調査は不要なのでしょうか?」ってコト。

「そんなの要らないに決まってるでしょ~♪」 とオハナシを聞いた途端に思ったのですが、ぃゃぃゃ。。。。「そういうコトじゃなくって、条文上、要らない根拠が見つからないんだけど。。。 ^^; 」ってことだったのです。

電子公告の調査については、会社法第941条に規定されています。

(電子公告調査)
第九百四十一条  この法律又は他の法律の規定による公告(第四百四十条第一項の規定による公告(←決算公告のこと)を除く。以下この節において同じ。)を電子公告によりしようとする会社は、公告期間中、当該公告の内容である情報が不特定多数の者が提供を受けることができる状態に置かれているかどうかについて、法務省令で定めるところにより、法務大臣の登録を受けた者(以下この節において「調査機関」という。)に対し、調査を行うことを求めなければならない。

決算公告に関しては、条文上、電子公告調査が不要とされています。
けれども、外国会社の決算公告(貸借対照表に相当するものの内容の公告)に関しては会社法第819条に別に規定されていて、こっちの電子公告は除かれてない??ような。。。?

(貸借対照表に相当するものの公告)
第八百十九条  外国会社の登記をした外国会社(日本における同種の会社又は最も類似する会社が株式会社であるものに限る。)は、法務省令で定めるところにより、第四百三十八条第二項の承認と同種の手続又はこれに類似する手続の終結後遅滞なく、貸借対照表に相当するものを日本において公告しなければならない。
 前項の規定にかかわらず、その公告方法が第九百三十九条第一項第一号又は第二号に掲げる方法である外国会社は、前項に規定する貸借対照表に相当するものの要旨を公告することで足りる。
 前項の外国会社は、法務省令で定めるところにより、第一項の手続の終結後遅滞なく、同項に規定する貸借対照表に相当するものの内容である情報を、当該手続の終結の日後五年を経過する日までの間、継続して電磁的方法により日本において不特定多数の者が提供を受けることができる状態に置く措置をとることができる。この場合においては、前二項の規定は、適用しない。
 金融商品取引法第二十四条第一項 の規定により有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならない外国会社については、前三項の規定は、適用しない。

。。。。(ーー;)

立法趣旨を考えると、外国会社の決算公告だって、電子公告調査は要らないはずなのですけれども、条文上は。。。???

う~ん。。。。確かに確かに。。。「要らない」って、直接的には規定してないような気がします。
じゃ、解釈か?

そこで、コンメンタールとか、解説書とか読んでみました。。。
商法時代の電子公告導入の時まで遡ってね。。。
でも、外国会社の決算公告のことなんて、な~んにも触れてないっ!!

「もぉ~!これって、条文の不備じゃないのぉ~!?」とか考えてみたのですケド、「ぃや~。。。ワタシじゃあるまいし、そんなに不備があるワケないよね~^^;」 と思い直しまして。。。もう一度、条文とニラメッコ!
そして、ふと気付きました。

会社法第941条でいう「会社」って。。。。もしかして~!?

ビンゴ~ッ!!

会社法第2条によりますと、「会社」とは、株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社を指してまして、外国会社は含まれていないってワケデスよ。
つまり、外国会社の場合は、そもそも、会社法第941条の適用を受けてない。

外国会社には決算公告以外の公告が義務付けられていないので、外国会社の公告全部に電子公告調査を課す必要がないってことだと思います。

な~んだ。。。な~んだ。。。そんなことなんだ~♪
分かってみれば、何てことはないけど、ココに至るまでは結構大変でした。
条文は正確に読まねばなりませんね。。。^^; 

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契約書の調印権限 その3

2012年10月15日 | いろいろ

おはようございます_(_^_)_

え~っと。。。このハナシ。。。思い出したキッカケは、あるHPでのQ&A。
やっぱり、代表取締役じゃないヒトが調印した契約書があって、それが良いのか悪いのか、ってハナシでした。
「実務上、一般的じゃないでしょう。」とのお答えがされていましてね。。。ぃえ、ワタシ自身は大賛成なのですが、「そういえば、こんなこともあったっけね~。。。(^_^.)」と、懐かしく思い出したわけです。

で、法務局への相談結果ですけれども、「契約書の調印権限(=契約締結の権限)があるヒトなのであれば、致し方なし。」とのお答えでありました。
つまりですね。。。契約書の調印権限が内部的に代表取締役以外のヒトに委譲されていれば、そのヒトが契約を締結することは何ら問題がなく、その契約は有効といえるってことです。
もちろん、契約当事者が「代表取締役との契約じゃないとダメ」と言ったとか、「契約書に押印するのは会社の実印に限る(=印鑑証明書を提出する)」と約束したというような場合は、問題が残りますけれども、「双方納得のうえで、契約を締結したのなら別にいいじゃない!」と考えるしかない。。。

会社というのは、色んな場面で色んな契約を締結するのであり、会社分割の契約書だから特別と考えるのも難しい。。。ということですかね。

登記の場面で言うと、代表取締役以外のヒトが調印した契約書を有効と判断するかどうか、という点が問題になりますが、ソコは、「調印者に権限があるかどうかを法務局が確認するか(すなわち、調印権限を有することの証明書を添付を要するか?)」というハナシなのであり、契約書そのものは特に問題なしってコトでした。

ただし。。。原則としては、代表取締役にしてもらいたいけど。。。って感じでしたけどもね~^^;

そして、その契約締結(調印)権限を有することの証明書については、添付不要ってことでした。
ま、いつもの善解理論でしょう。。。

規模の大きな会社の場合、こういうことは起こりがちです。
契約は締結済みなのですから、簡単に訂正するってワケにはいかないんです。

。。。と言うわけで、そのケースに関しては、契約書の訂正等の必要はなく、調印権限を証する書面の添付も不要で、無事登記も完了いたしました。
会社法施行前のコトではありますが、この辺の考え方は変わっていないだろうと思います。

でも、決して一般的なケースではないでしょうし、法務局によっては「ダメ~ッ!」とおっしゃるかも知れませんね。ご注意下さいませ。
(こういうトコロは、東京は取扱いが緩やかな気がします。)

。。。なんてコトを思い出していたら、こういうのもありましたね。
こちらは、以前の記事にも書きましたけど、 ⇒ ttp://blog.goo.ne.jp/chararineko/e/96588fe5cafdff98daada0c33f21a769

契約締結の委任を受けた代理人が調印するケースです。

具体的にはこんな感じで記載されます。

****
本店●●
商号●●
代表取締役●●
代理人住所●●
上記代理人●● 印(←代理人の認印)
****

これも考え方としては同じってコトなのでしょうね。
代表取締役から委任を受けた代理人が契約書に調印するけど、その権限が内部的に委譲されているかどうかの証明書は不要。

代表取締役が調印していないと、ちょっと気持ちは悪いですけどね。。。^^; 

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契約書の調印権限 その2

2012年10月12日 | いろいろ

おはようございます。
早速昨日の続きです♪

分割会社は、当然のことながら2社ともデッカイ法務部があるはずで、モチロン、この契約書は各社の弁護士サンも確認されているはず、だったら、内容なんて確認せずとも正しいに決まってるはずで。。。。でも。。。。これは。。。。。何~っ?????

どういうことかと申しますと、末尾がですね。。。変わってるんです。。。

契約書の末尾には、契約締結の証として、当事者が記名押印をいたしますよね!?
つまり、本店・商号と契約締結の権限を有する自然人の氏名(プラス肩書き)を記載したものに、押印するわけです。

で、この自然人のところですけれども、通常は契約当事者たる会社の代表取締役になります。
会社を代表する権限があるのですからね。

でも、この契約書の当事者の片方は、担当部署の部長さんのお名前が記載されておりました。
印鑑は、当然、会社の実印ではないのでしょうが(代表取締役や支配人ではありませんから、印鑑を届け出ることができません)、会社の印鑑らしきモノが押印されています。

考えてみれば、デッカイ会社の場合、個々の契約書全部に代表取締役が押印することは難しいんでしょうね。
ですから、契約の規模によって担当部署の長に調印権限が与えられているようなのです。
今回のケースは、ワタシから見れば十分デッカイデッカイ規模の会社分割で、代表取締役以外のヒトが調印するなんてあり得ない。。。と思いましたが、実際は、分割会社の規模に比してみれば、さほどデッカイ案件ではなく、担当部署で処理すべき規模だったようです。

もちろん、担当部長サンには調印権限があったワケですが、コレ、登記の添付書類にもなる契約書ですし、大丈夫なのかどうかドキドキでした。

ちなみに、担当部長サンはとっても偉いヒトではありますが、取締役ではありません。
当時は、取締役を減らして、執行役員制度を導入する会社が増えていましたが、この会社サンも同じ。担当部長サンは執行役員でございました。
あ、ただし、委員会設置会社ではなく、任意に執行役員制度を導入している状況ですので、執行役員の登記はされてません。

でもなぁ~。。。既に契約は締結済みなのだし、もしダメだとしても、ちゃんとウラを取らないと。。。というわけで、「この部長サンは契約締結の権限があるってことですよね?」って、確認のうえで、法務局に相談に行ってまいりました。

続きはまた来週♪

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契約書の調印権限 その1

2012年10月11日 | いろいろ

おはようございます♪

先日、ちょっと小耳にはさんだハナシがありましてね。。。
昔の出来事を思い出しましたので、ご紹介してみようかと思います。

商法の時代のことなんですけれどもね。。。
会社分割でした。
分割会社はチョ~有名かつ大企業2社。当然、2社とも上場会社です。確か共同新設分割だったと思います。

そして、資本金はなんとウン百億!!!!!登録免許税は「億です。億!!!」
グループ会社の場合、本体(グループの頂点の会社をこう呼ぶようですね。)が当事者になる組織再編というのは、あまり多くないと思いますが、そのケースでは、2社とも本体でした。
会社分割で合弁会社を立ち上げたワケデスね。

ご依頼いただいたタイミングは、確か、契約書の調印が終わってからだったと思います。
当事者は超デッカイ会社、しかも本体だし、資本金も超高額。
ちょっとしたことで、ドキドキしておりました^^;

ただし、通常ですと、上場会社サンって、ある意味安心なんですよね。
何故かというと、事前準備がシッカリしているから。
しかも、グループ内の組織再編じゃないのですから、そこはもう。。。ねぇ。。。
なので、間違いなんてあるワケない。。。はずだけど、どっこい!そうは問屋が下ろさない。。。
もしかして、ワタシの運が悪いだけなのか。。。(ーー;)

クライアントさんとしては、基本的には、登記申請の手続だけを依頼するつもりだったということもあり、インサイダーの問題で、開示前には依頼したくない(情報をできるだけ外に漏らしたくない)ということもあり、依頼のタイミングは通常のケースよりもかなり遅めだったワケです。

さらに、分割会社の1社は、もともと、ウチの事務所のクライアントさんですが、そのグループ会社では基本的に社内で登記申請までを行うことが多いので、手続に関するご相談のみというケースがほとんど。。。
それにしても、皆さん、良くお勉強されていて、詳しい詳しい。。。コチラがタジタジになるくらいです。
ですが、「デッカイ案件だし、お相手もいることだから、念のため今回は司法書士に登記を依頼しようか。」という感じだったんじゃないか、と思います。

。。。というわけで、依頼を受けた時には、既に会社分割の契約書は締結済みでした。
とはいえ、内容を確認しなければなりません。
「まぁ、あの会社だし、問題なかろう。。。」と思いつつ、契約条項を読みまして。。。ま、指摘する点はないかな。。。と思ったのですが。。。

「えっ!?何だコレ~っ!?どうしよ~!!!(~_~;)」

思いがけないコトが書いてあり、ビックリ!
しかも、ダメなのかどうか分からず、オロオロ。。。。

。。。で、続きはまた明日~♪ 

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