司法書士のオシゴト

会社にかかわる登記を中心に素朴なギモンにお答えします♪ 

公開会社の有利発行の添付書類 その3

2012年08月28日 | 商業登記

おはようございます(^^)

今日は突然本題に入ります。
登記の添付書類のことです。

「有利発行のために株主総会の特別決議を要する場合の取締役会議事録は添付を要しない(取締役会の議事録が添付されていれば足りる)。」という先例(S30.6.25民甲1333号)がありましてね。。。これ、今も有効らしいのですよね(商業登記ハンドブックP289)。

以前からずっと気になっていたのはこのこと。

旧商法下では、新株発行の決議機関(募集事項の決定決議機関)は常に取締役会で、株主総会は有利発行決議だけをすれば良かったわけです。
取締役会議事録からは有利発行かどうか分からないし、決議を経ていなくても新株発行の無効原因にならないから要らない、という理由だったようです。

しかし、現在では、「公開会社の有利発行」であれば、決議機関が変わります。
有利発行だからこそ決議機関が株主総会になるのですから、有利発行決議と募集事項の委任の決議は、株主総会で一つの議案として決議するのが普通。でも、株主総会議事録は要らないってことでしょうか?

でもなぁ~。。。決議機関が株主総会なのだから、募集事項の決定を取締役会に委任していたとしても、株主総会議事録が要らないってことにはならないはずですよね!?

この関係って、どう考えたら良いんでしょうか?不思議なんですよぉ~!!

そうは言っても、「公開会社の有利発行なんてほとんどないじゃん!だったら、実務上はどうでも良いんじゃないの?」と思われる方もいらっしゃるかも知れません。
でも、あるんです!普通に!

。。。それが、募集新株予約権の発行。(これで、初めのハナシと繋がります^^;)
取締役会に委任できる事項は少ないのですケド、手続的には募集株式と同じです。

つまり、公開会社が新株予約権(ストックオプション)の発行を有利発行として決議する場合は、募集株式の発行と同じように、株主総会議事録が要るとか要らないとかって議論が当てはまるってことなんです。

旧商法下では、ストックオプション目的の新株予約権は一律に有利発行と整理されていましたので(今は有利発行とは限りません)、株主総会の決議が必要とされていましたが、この先例によって、株主総会議事録は添付書類になりませんでした。当然、ワタシも添付していませんでした。

このハナシ(先例が生きてるってコト)は会社法施行直後は知りませんでね。。。
旧商法下とは手続が異なる(=募集事項の決定機関が株主総会になった)のだから、当然、株主総会議事録は要る!って思っていたんです。
その後、「商法の時代と同じ扱い」と知りましたが、「どういう意味なんだろ~???」と思いつつ、株主総会議事録は添付しています。

あくまでも「有利発行の株主総会議事録は要らない」と言っているだけで、「募集株式発行の株主総会議事録は要るんだよ」という意味なのかも知れませんが、有利発行の事実が分からないと、決議機関が決まりませんしね。。。
しかも、株主総会で募集事項の決定の委任をしたとして、委任された取締役会議事録に株主総会で委任された事実を記載せず、募集事項の全部を決議していたとしたら、株主総会議事録って添付しなくても分からないってことになりますよね~。。。

法務局って、添付書類が足りないと補正になりますが、余計な書類を添付しても何も仰らないのでね。。。
ずっとずぅ~っと気になりながら、株主総会議事録を添付し続けております^^;

もう、実質的に意味のない先例なんじゃない?(或いは、何かしらの補足が必要)って思うのですが、殊更にハンドブックに書いてあるのはどういうコトなんでしょうね?
皆様どのようにお考えでしょうか??

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする