司法書士のオシゴト

会社にかかわる登記を中心に素朴なギモンにお答えします♪ 

現物出資の手続き その2

2012年04月05日 | その他会社法関連

現物出資というのは、昔はかなり使いづらいものだったですね。
現在は、現物出資で検査役の調査が必要になることなんて滅多にないけど、以前は検査役の調査が不要になる方法がないのか?。。。やっぱムリ?!。。。と、ずいぶんと悩んだモノでした。

今回のように、社長サンから会社に対する債権を現物出資するケース、一番多いのではないかと思いますが、以前(平成2年商法改正時)は、「現物出資財産が500万円以下の場合」「現物出資者全員に与える株式総数が発行済株式総数の10分の1以下、且つ、発行する新株式数の5分の1以下」の場合にのみ検査役の調査が不要とされておりました。

特に後者は、現物出資と現金出資を併用する場合ですから、該当するモノはホント~に僅かだと思います。
けど。。。ワタシはやったことがあるんです(エッヘン!)
ただし、財産というのは金銭債権じゃありませんでしたけれどもね。。。
100%親会社が子会社に現物出資するというものでしたが、金額は●●億円。
前にもオハナシしたかも知れませんが、検査役の調査というのは、いつ終わるのか分かりません。調査が終わらないうちに払込期日が到来すると、手続きがパァになっちゃいますんで、余裕をもって期日を決めます。(発行決議してから調査しますんでね。。。^^;)
手続きも面倒だし、費用もかかりますし、時間もかかる。。。なので、出来る限り検査役の調査を受けなくて良い方法を考えるワケです。
そうは言っても、関係者の皆様は、「金額から考えて検査役の調査を回避することはできないだろ~な。。。」と、半ば諦めていたみたいで、このご提案をしたところ、かなり喜んでいただけました。自分自身もそれがすごく嬉しかったんですよね~。。。今でも良く憶えています。


現在は。。。というと、ご承知のように、金銭債権は、

①現物出資財産が500万円以下の場合
②現物出資者全員に与える株式総数が発行済株式総数の10分の1以下(←新株式の5分の1以下との制約はなくなりました)の場合
③会社に対する債権で、弁済期が到来していて、現物出資財産の価額が負債の帳簿価額を超えない場合
④税理士等の証明書を添付した場合

は、検査役の調査が不要とされています。 特に③は余計な費用もかからずに非常に便利で、良く利用されていますよね♪

。。。というわけで、またしてもちょっと本題からズレておりますが、ハナシを元に戻しますね。

今回のケースも社長サンが会社に対して貸し付けた金銭債権を現物出資するのですが、金額的に①には該当しません。
そして、金額的に②にも該当しないだろ~。。。と思っていましたら、1株あたりの発行価額が大変高額でして、なんと②に当てはまってしまいました。

500万円というのは一般的には安い金額ではないと思いますが、会社が事業を拡大していく上では足りないようで、ワタシ自身は、ここ何年か、ほとんどやったことがありません(皆無かも。。。)。
ただ、株式会社の最低資本金が1000万円になった際、これを使って増資する会社は非常に多かったです。(←古いハナシでスミマセン)

。。。で、②ですけど、新株式の5分の1以下という制限がなくなったお陰で、非常に使いやすくなりました。発行済株式総数の10分の1以下かどうかは客観的に明らかですから、証明書のタグイも全く必要がないですし。。。なので、ワタシの最近の担当案件ではこの方法がダントツトップです。
ただし、これは基本的に100%親子間で使われておりまして、今回の会社サンのように株主サンが複数人いらっしゃると大体ダメなんです。なので、ラッキーでした♪

では、実際の発行(募集)手続き。。。ということですが。。。また明日♪

コメント
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