司法書士のオシゴト

会社にかかわる登記を中心に素朴なギモンにお答えします♪ 

取締役の補欠規定 その2

2010年02月05日 | 役員
取締役の補欠規定を置いていない別の会社のオハナシでございます。

新規のクライアントさんから、「改選期なので役員変更の手続をして欲しい」というご依頼がありました。
この会社さんは、上場会社のグループ会社で、取締役の任期は、定款で1年(取締役の選任後1年以内に終了する事業年度にかかる定時株主総会終結まで)とされています。

上場会社は、もちろん公開会社ですから、取締役の任期を伸長することはできません。でも、現在では逆に任期を短縮して1年にしている会社の方が多いくらいでは? と思います。
剰余金の配当等の決議機関を取締役会にするためには、取締役の任期を1年にしなくてはいけませんから、そのことも影響しているんだろうなぁ。。。とは思うのですが、それとは関係なく任期1年という会社も相当数あります。
毎年、株主の信任を得ることが必要だということでしょうか?

グループ会社では、非公開会社でも親会社と足並みを揃えることが珍しくありません。ですので、当事務所のクライアントさんは、非公開会社で任期1年、としている会社が相当数ありますね。

。。。というわけで、今回の会社さんも任期1年が珍しいということではありません。が、取締役の補欠・増員規定がないんです。
担当者の方は、今回の定時総会で取締役全員の任期が満了すると思っていたようですが、困ったことに、そういう結果にはなりません。
実は、この会社さんでは、事業年度終了後、定時株主総会までの間に臨時総会を開催して取締役を1名選任していました。
そうすると、その方だけ任期が1年ずれてしまうんです。

例えば、3月決算の会社があったとしましょう。平成21年6月の定時総会で取締役を改選し、平成22年4月の臨時総会で取締役Aを増員しました。取締役Aの選任後1年以内に終了する事業年度というのは、平成23年3月です。つまり、他の取締役は全員、平成22年6月の定時総会で任期満了しますが、取締役Aは平成23年6月の定時総会で任期が満了するので、ここで1年のズレが発生します。

補欠・増員規定を置かなかった理由は、「親会社の定款と同じにしたから。」なのだそうです。確かに上場会社では、取締役の任期が1年の場合、補欠・増員規定を置きません。そこで、何故かなぁ~。。。と考えてみました。

上場会社では、わざわざ臨時総会を開催してまで取締役を選任することはありません。株主総会を開くのは手間も費用もタイヘンだからです。そのため、取締役の人数も法定・定款の員数よりは多めに選任していたり、補欠取締役を予め選任していたりと、欠員が出ないようにそれなりの予防策を講じています。

補欠・増員規定の威力が発揮されるのは、事業年度終了後、定時総会が開催されるまでの約3ヶ月ですから、上場会社ではそのケースを想定する必要がないということだと思います。

これに比べ、非公開会社である子会社では、株主総会を開催することや書面決議を行うことは割と簡単に出来ることが多いですし、人事異動で役員を交代したり増員したりすることもあります。そうすると、今回のように一部だけ任期が違うヒトが出てしまうワケです。

任期満了を忘れることはないとしても、(毎年改選しますから)任期がまだあるのに再任しちゃったり、退任させちゃったりする恐れはありますよね。

ですから、この会社さんには状況をご説明したうえで、時期を見計らって補欠・増員規定を設けることをおススメしました。
ワタシにとっては、ちょっと新鮮な出来事だったのですけど、そうでもありませんか?
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