司法書士のオシゴト

会社にかかわる登記を中心に素朴なギモンにお答えします♪ 

特例有限会社の商号変更の登記 その4

2010年02月03日 | 商業登記
商号変更後の株式会社の登記をするときは、登記原因年月日を移記しません。ただし、役員の就任年月日だけは登記するになっています。

何やら不思議な感じがしますが、おそらくこれは、便宜的に設立登記と解散登記をするためと思われます。
会社法では商号変更ですが、登記の際は特例有限会社の解散登記と株式会社の設立登記を申請することになるんです。ちなみに、組織変更や持分会社の種類変更(合名→合資など)の登記も同じです。

設立登記(形式的なものも含め)というのは、登記記録区以外は原因年月日は登記されないものですが、特例有限会社の登記事項は他管轄への本店移転と同じです。役員の就任年月日を登記するのは、有限会社時代に就任した役員の任期を確認しやすくするためだそうです。

で、役員の就任年月日については、一つギモンがあるんですよね。
株式会社の役員の登記する際、各役員の就任年月日は法務局の職権で登記することとされてマス。これをワタシ共申請人(代理人)サイドで書いてはいけませんということになっています。

あるとき、商号変更と同時に重任した取締役の方がいました。登記原因は「重任」ではなく「就任」とされてマス。「これって間違いじゃないでしょうか??」と訂正をお願いしたところ、間違いじゃないとおっしゃるんです。
法務局の方の説明によると、「就任年月日を職権で登記しろ」という規定なのだから、「重任」はないのだそうです。

さらにヘンなことに、特例有限会社の登記記録で「重任」と登記されていた場合は、単に移記するので「重任」と登記されると言うんです。(有限会社は任期がないのが普通ですから、重任している役員はほとんどいませんが。)

同じ「重任」なのに「就任」と「重任」の2パターンの登記がされることはやっぱりヘンな気がしています。
が、理由はこんなことじゃないかな?と思います。

重任というのは、「退任」と「就任」が同時に起こる場合の原因です。有限会社の登記記録に登記原因を登記しない扱いならば、例えば、同一人物が「退任」及び「就任」(退任と就任の日付が異なるケース)するときは、「退任」の部分は登記せず、「就任」のみを株式会社の登記記録に登記することになります。
これと同じと考えた場合、「重任」と登記すると、「退任」の登記を併せることになってしまうから、あえて「就任」という登記原因で登記するんだろう。。。ってことです。

そういう理論は分からないこともないのですが、もともと「重任」で登記されていた役員だけ「重任」の登記をしてしまうと、公示としては分かりにくくなると思うんですよ。一律に「就任」なら分かるんですけどね~。。。
まあ、話をしてくださった方はそこまでのことは考えていなかった気もしますので、もしかすると、その点の結論は異なるのかもしれません。

法務局というのは、仮定のハナシではイマイチ真剣になってくれないトコがあります。モノにもよりますけど。。。ですから、現実の案件が出て来ると良いのになぁ~と思います。
クライアントさんにとっては、それほど重要なことではないかも知れませんが、個人的にはずっと引っかかっています。
コメント
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