司法書士のオシゴト

会社にかかわる登記を中心に素朴なギモンにお答えします♪ 

種類株式を消滅させるには。。。

2009年10月27日 | 株式・新株予約権
昨日はちょっと脱線しました。先週の種類株式に絡んだハナシにもどりますね。

先日、司法書士会主催の種類株式のセミナーがありました。大変勉強になる講義だったのですが、その中で、講師の方が「種類株式は存続することを前提にしていないことが多く、そのため、EXITの方法を考えておく必要がある。」とおっしゃっていました。

ワタシ自身もまったくおっしゃるとおりと考えていますが、発行事例を見ると、種類株式発行会社でなくなる(厳密には、種類株式を自己株式とする OR 未発行の状態なので、種類株式発行会社でなくなるためには定款変更決議は必須デス。)方法を予め定めていない会社も結構あります。
そういう会社は、実際にはどうするかというと、普通に相対取引をして自己株式として会社が取得し、自己株式を消却したりしています。
なので、ワタシが出合ったケースでは骨肉の争いになったりしたことはないですが、会社と株主が合意できない場合は大変ですから、やっぱり強制的に種類株式をなくす方法を用意しておくべきでしょうね。

今回の種類株式に当てはめますと、基本は現在の社長1代限りの株式とし、他者には渡らないようにしたいとのご希望があります。
ただし、次期社長には場合によって譲渡できるようにするのです(←ココが譲渡制限の部分)。

そのため、まずは、取得条項を付けることにしています。取得の条件は「代表取締役でなくなったとき」です。つまり、取締役会の決議を経ることなく、自動的に会社が種類株式を取得することができます。
ただし、その先が問題です。

自己株式となった種類株式は、どうやって消滅させることができるでしょうか?
会社法施行前の「転換株式(施行直前は「転換予約権付株式」)」は、例えば種類株式が普通株式に転換されると、種類株式の内容が普通株式に変更する。。。というようなモノでした。
でも、会社法ではとてもキッチリとその辺の整理がされて、取得条項でも取得請求でも全部取得条項でも、一律に会社が取得することになったので、取締役会で自己株式の消却決議をしない限りは消滅させることが出来ないですよね!?

そうだとすると、仮に自己株式として取得した株式を悪用できないわけではありません。というのも、定款変更や募集株式の発行については種類株式に拒否権が付いているし、種類株式の内容としては前述の取得条項もありますが、自己株式になってしまっては何の効力もありません。ですから、通常の株主総会で特別決議が可決されれば、都合よく定款変更もできるし、第三者への譲渡もできるという結果になり、種類株式は非常にキケンなシロモノとなってしまうワケなのです。

結局は、堂々巡りが続き「円満解決はムリっ!」という結論を出しました。(何か裏ワザをご存知の方は教えてくださ~い!)クライアントさんにお話しすると、あっさり。「それは承知してました。でも、次世代の話になりますから、それはそれで次の人たちに考えてもらえば良い。。。ってことにしたんですよね。」だそうです。

なんだか中途半端でちょっぴり納得いかないんですが、これが限界なのでしょうか? 事業承継問題もナカナカ難しい。
コメント
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