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フライフィッシングつれづれ日記
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お鏡の残りの雑煮
薪ストーブ
/
2009-01-20 09:48:41
毎朝の日課は明日の分の薪を2階まで運び込んで薪ストーブの横に並べること
ガラスの曇りを灰を付けた濡れ布きんで拭いて落とすこと
正月に供えた鏡餅を切ったものがまだたくさん残っているので、今朝はそれを焼いて、味噌汁の中に入れて雑煮風で頂いた
生き残っていたミツバも入れて頂いた
僕は正直、薪ストーブを知人に進めることは無い
経験の無い人がお金をかけて設備しても1,2年で嫌になってやめてしまう人をたくさん見ているし
時間も体力も彼らが思っている以上に大変だと思っているからだ
先日知り合いと話しているとき、薪ストーブの話題になった
彼女も子供の頃は家で薪ストーブを焚いていて、毎日の薪運びは苦痛以外の何物でもなかったと言っていた
僕もその通りで、中学生の頃、我が家でもメインで薪ストーブを炊いていた時期、父に怒鳴られながらいやいや薪を運んだりしていた
灯油を使えばよいのにと心底思っていた
父は命令するだけで自分では薪運びなどしない人だったので、それに対する反感も大きかった
薪ストーブは何年もしないうちに居間から追いやられて、最新の床暖式FF式ストーブが変わりに取り付けられた
僕は本当に喜んだものだった
コレで面倒な薪割りや薪運びから開放されると思うとうれしくて仕方なかった
実際、薪を買って燃やすということは非常に不経済で、思春期の僕らが反抗する中で薪ストーブを燃やし続けるということは親にとっても面倒なことだったのだろう
それでも、それ以降も薪ストーブは月のうちの半分ほどは燃やすような状態ではあったけど、僕の感知するところではなくなった
秋に薪を運んで家の側に積むくらいの手間だけだった
なのに、3年前から僕は再び薪ストーブを燃やし始めた
昨年までは自分の寝室だけで使っていたのを、今年は居間でメインに使い始めた
きっかけは灯油の高騰
おかげで我が家の冬の灯油使用量は3分の1以下になった
以前の我が家は古くて風通しの良い分冬はいつも寒くて
石油ストーブを使っても暖かいのは周りだけだったのに
今年の冬は本当に暖かく過ごせている
居間だけじゃなく、階上の子供部屋まで快適な温度に温めてくれているのには本当に驚いた
今の僕には薪を作ることも、運ぶこともさほど苦には思わなくなった
多いときには3台の薪ストーブが稼動しているので薪の使用量もとても多くなったけど、それでも今のところ嫌気もささないでいられている
普段のストーブの管理は全て僕がやっているので、嫁も子供たちもさほど嫌には思っていないだろう
その気もないのに労働を迫られることは本当に嫌なことを僕は知っているから
嫁にも子供たちにも何もお願いする気にもなれない
父親はどうだったのだろう?
おそらく子供の頃は僕など比較にもならないくらいこんな労働を迫られていたわけで
薪ストーブに温まりながらも当時の辛い思い出を思い返してはいなかったのだろうか
薪を切る手が悴んでも、『そんなものは木にでも打ち付ければ暖かくなる!』と
祖父に叱られたことを辛そうに話していたのを思い出した
昭和の初期、寒く雪深い北海道の山の中で
ノコギリ一本で薪を切り出しては馬橇で運び出していたのだから
おそらく大変な作業だったに違いない
農作業に追われてその冬の薪にも事欠く様子だったらしく
乾燥していない生の木をストーブの上で炙って使っていた
『ジュウジュウ』と泡を立てて薪が炙られているさまを懐かしそうに、どこか辛そうに語っていた
そう思うと父親にとっては薪を焚くという事は
懐かしくもあり、辛くもあり という心境だったのかな
だから自分ではあまり手をかけたくなかったのだろうかと
多少の理解も出来るようになった
ある事情で父と祖父の間には強い確執があたのが辛い思い出に更に拍車をかけていたのかもしれない
それでも僕が爺様が残してくれた山で木を切り
薪ストーブをこうして楽しく燃やせているのは
さほど苦にも思わないのも
子供の頃からの経験があったからに他ならない
そのあたりは父にも爺様にも感謝しなければならないところだろうか
楽と苦
ひらがなで書けば
らく と く
たった一文字 『ら』が足りないだけで苦になってしまう
楽しいことと苦しいことはさほど変わらないのかな
『ら』ってなんだろう らららと歌でも歌うようなことだろうか
辛い労働の先に何か楽しいことが待っていると思うだけで、
労働の中に喜びという要素が加わるかで、鼻歌交じりで辛い労働も楽しくなるのかな
面倒な薪ストーブの世話もそれと近い
何ともいえない暖かさは面倒な手間を忘れさせてくれるに十分だ
子供の頃、薪ストーブのわずらわしさの中にも
この何とも形容詞し難い温もりを教えてくれた父には感謝しなければならないのだろうか
薪ストーブで炙った餅を食しながら
そんなことをふと思ってみたりした。
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