山形建築研究所-BLOG-休憩室

ここは建築設計事務所-山形建築研究所の休憩室です。
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外と内をつなぐ

2013年06月07日 | オープンオフィス
日本の住宅の特徴は縁側や土間、庇など室内と室外の間につなぎ目となる中間的な空間があることだといわれています。
深い庇は強い日射しや雨から屋内空間を守り陰影のある美しい立面を形成しています。
土間や縁側は室内と室外空間を、あるときは繋ぎ、あるときは柔らかくさえぎる。
日本の気候風土と木造の柱梁構造がそうした空間をつくり出し日本人の空間の好みとして定着してきました。

私たち日本人は、小さな窓しか開いていない壁ばかりの部屋より外に大きく開いた部屋が好きです。
それも外が見えるだけでなく、人や風も通るような開口部を好んでいるようです。
広いウッドデッキやテラス、中庭などが室内とつながる外部空間であり、逆に室内にあって外部とつながるのが、サンルームや縁側、土間空間です。
そうしたつなぎの空間は、見た目だけでなく生活を内外に発展させ、空間を豊かにしてくれます。
雨の降っている日でも外気にふれながら外にいたい・・・
雨が降ってきたから洗濯物をとりこむとか、庭の自転車をしまいこむといった実利的なスペースとしてでもあり、
また、こころの問題としても、そのような内であり外であるというような空間が用意されていないと私たちの生活はみたされないでしょう。

ひとつの提案として・・・
庭に面した開口部に連続するデッキを用意します。それもできるだけ奥行きをとってあげて。
休日の晴れた日にデッキチェアを持ち出して落葉樹の木漏れ日の下で、読書三昧・・・なんてのはいかがでしょうか。
ここは屋根のない、壁で囲まれていない場所ですから、雨が降ったり、風の強い日には使えないでしょうが
部屋の中からデッキが見えるだけで、リビング空間の一部として十分に意識できるスペースです。

部屋のスペースとしては十分な広さがとれなかったリビングでも外の空間を取り込むことで、ゆったりとした大きなスペースとなり、
内と外がスムーズにつながって、ひとつの空間なんだと、感じ取れるような工夫をプラスしてみるとよいでしょう。
たとえば、室内の床面とデッキの床面を同じレベルに揃えてみます。間に入るサッシュのレールも歩行感を妨げないよう、できるだけフラットにしてやります。
内部と外部を仕切る建具も、内外一体で使うときには、できればそこにないと、邪魔にならないだけでなく、スッキリとして気持ちが良くなります。

見たい眺めのある方角や、生活を展開させたい外部空間に向けて開口部を設ける。
桟や枠のない大きなガラス窓を設けて、外には花や緑、素敵な椅子などが置いてあれば、視線はひとりでにそちらを向くでしょう。
ただし、真正面に富士山を見るような開口場ばかりでは単調になってしまいます。
たとえば、廊下の突当りに見える緑、高窓から見え空、小窓から差し込む光など、変化に富んだ開き方、見え方を工夫することが大切です。
市街地にある敷地では、一階にいる人の目の高さで良い眺望が得られるケースは少なく、良い眺望を得る方法を考えなければなりません。
二階リビングはその工夫のひとつでしょう。
公園や隣家の樹木、遠くの景色など、なんであれ見るべき場所が見つかれば、ともかくそちらに開口部を設けること。
どこにも良い景色がない場合は、自分の敷地内にその場所をつくるしかありません。
植栽で囲まれた庭、小さなプール、中庭等。トップライトだって、空を見るための大きな開口部と考えられるでしょう。


見たい場所がある一方、見たくない場所もあります。汚い街並み、店舗の裏側、隣家のトイレや浴室の窓、等々。
リビングやダイニングなど、普段、人がいる場所からはそれらが見えない角度、位置に開口部を設ける。
壁の向きや位置、袖壁など平面的な検討が必要になる場合もあります。
見たくないものが平面的に広がっている場合は、断面的解決が効果的です。
床や窓の高さを変え、垂れ壁や張りだしたテラスなどで、見たくないものを遮る。
植木や垣根などの植栽、すだれ、格子などの付属物、塀や物置などの外構も、見たくないものを隠すための手段になります。
見ないことと対になるのが、外部の目からプライバシーを守ることです。
平面、断面で考え、外構を利用するなど、考え方は隠すテクニックと同じです。
でも、他人の視線を気にしすぎると、周囲に対して閉じた住宅となって、冷たい街並みをつくることになってしまいます。
明るい外部から暗い室内は見えない、遠くの人の動きは気にならないなど、人間の心理を計算して閉じる範囲をとどめておく配慮も必要です。

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