実録怪談の名手とされる平山による短編集で、私は彼の小説を読むのは初めてだ。宝島社が選出する「このミステリーがすごい!」の第一位を獲得していて、しかも2006年度日本推理作家協会賞の受賞作ということで少しは期待したのだが、まったくのハズレだった。
第一、これはミステリーではない。推理小説的な要素など皆無に近いのだ。ではいったい何かというと、グロ小説である。
断っておくが“グロだからダメだ”ということはない。必然性のあるグロテスク描写、あるいはグロの果てに存在する“何か”を掴み取ろうという能動的な意図さえあれば、読者としては十分な許容範囲である。しかし本書は単なる“グロのためのグロ”に終始する。そこには何の求心力もない。
しかも、個々の描き方が“どこかで見たようなタッチ”であるのも脱力だ。たとえば「卵男」は「羊たちの沈黙」の低調なパクリであり、「すさまじき熱帯」は映画「地獄の黙示録」あたりの劣化コピーである。全体的に筒井康隆には遠く及ばず、乙一や友成純一のレベルにも達していない。
結果として、派手な場面ばかりなのに印象は極めて薄くなってしまった。私など読後約一週間でストーリーの詳細さえも忘却の彼方に飛び去ってしまったほどだ。
結局、この本のセールスポイントはインパクトのある表紙デザインだけだろう。平山の著作はもう読む気はしない。
第一、これはミステリーではない。推理小説的な要素など皆無に近いのだ。ではいったい何かというと、グロ小説である。
断っておくが“グロだからダメだ”ということはない。必然性のあるグロテスク描写、あるいはグロの果てに存在する“何か”を掴み取ろうという能動的な意図さえあれば、読者としては十分な許容範囲である。しかし本書は単なる“グロのためのグロ”に終始する。そこには何の求心力もない。
しかも、個々の描き方が“どこかで見たようなタッチ”であるのも脱力だ。たとえば「卵男」は「羊たちの沈黙」の低調なパクリであり、「すさまじき熱帯」は映画「地獄の黙示録」あたりの劣化コピーである。全体的に筒井康隆には遠く及ばず、乙一や友成純一のレベルにも達していない。
結果として、派手な場面ばかりなのに印象は極めて薄くなってしまった。私など読後約一週間でストーリーの詳細さえも忘却の彼方に飛び去ってしまったほどだ。
結局、この本のセールスポイントはインパクトのある表紙デザインだけだろう。平山の著作はもう読む気はしない。