元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「ポーラー 狙われた暗殺者」

2020-05-30 06:30:53 | 映画の感想(は行)
 (原題:POLAR )2019年1月よりNetflixで配信。観ていて笑ってしまった。これは、主演のマッツ・ミケルセンの“勇姿”を堪能するためだけの映画だ。筋書きに無理があろうと、活劇の段取りが納得出来なくても、マッツ御大の俺様的パフォーマンスを見せつけてしまえば、それですべて丸く収まるのだ・・・・と考えている観客には大いにマッチする。言い換えれば、それ以外のオーディエンスはすべて“蚊帳の外”である。そう割り切るべきシャシンだ。

 ブラック・カイザーことダンカン・ヴィズラは世界的な“殺し屋派遣会社”に雇われている凄腕の暗殺者だ。この会社の定年は50歳で、彼はあと2週間でその年齢になる。引退後は会社から一生食うに困らないだけの“年金”が支給されることになっているが、CEOのブルートはその“年金”を拠出するのは損だと考え、定年に達した殺し屋を次々と始末していく。ダンカンは自分の居場所が知られないように、世界中に“別荘”をセッティングして追っ手の目を眩ましていたが、過去の一件により多額の寄付を続けていたことが会社側に知られたため居住地が割れてしまう。



 一方、ダンカンは根城にしていたモンタナ州の片田舎で、隣に住む若い女ヴァネッサと知り合う。何か訳ありのような彼女のことが気になるダンカンだが、会社が差し向けた5人の殺し屋の襲撃に遭い、ヴァネッサは連れ去られてしまう。ヴィクター・サントスによるコミックの映画化だ。

 冒頭、引退してチリで悠々自適の生活を送る暗殺者が、ブルートの手下に殺害されるシーンからして徹底的にマンガチックで派手派手しい。つまりは“これはマジに観るシャシンじゃないよ”と宣言しているようなもので、この開き直り方はアッパレかもしれない。

 ダンカンは大して苦労もせずにいくつもの危機を突破し、終盤には手酷いリンチを受けるが、なぜか短期間“静養”するだけで一線に復帰してしまう。普通の人間ならば100回は死んでいるようなシチュエーションも、マッツ御大のふてぶてしさで乗り切ってしまえると作者は確信しているようだ。とはいえ、スプラッタ描写も満載なので観る者を選ぶ。

 ヨナス・アカーランドの演出は繊細さとは縁が無いが、勢いは認める。カミーユ役のヴァネッサ・ハジェンズがあまりにも地味であるのは不満だが、キャサリン・ウィニックやルビー・O・フィーといった“お色気部門”はしっかりと仕事をしている(笑)。続編を匂わせる幕切れなので、またマッツ御大の“体当たり演技”が観られるかもしれない。

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