元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「ワンダフルライフ」

2013-07-12 06:15:40 | 映画の感想(わ行)
 99年作品。天国への入口で死者たちの面倒を見るスタッフを描く是枝裕和監督作。彼らの仕事は、死んだ者たちに人生の中で一番楽しかった想い出をひとつ選んでもらい、それを映像化して見せることだ。そうすると、彼らはその想い出を抱いたまま天国へ旅立つのだという。

 ハッキリ言って、ダメな映画である。デビュー作の「幻の光」を観た時も思ったが、是枝監督の姿勢というのは“映像美とはこういうものだ”とか“自然な演技ってのはこういうものだ”とか“ドキュメンタリー・タッチとはこういうものだ”とかいう具合に、自分一人で納得して観客に押しつけてくる傾向がある。さらにテレビドラマ的な明解・平板な作劇に対する憎悪にも似た気持ちもうかがえる。



 まあ、そのスタンスはいいとして、致命的なのは肝心の実力がまるで付いていってないってこと。今回も、頭の中だけで作ったようなホラ話を約2時間保たせられない。

 ディテールも大甘。だいたい、人の一生を記録したビデオテープとやらがあるのなら、わざわざセコいセットで撮り直す必要なんてあるものか。デジタル合成ぐらい出来ないのだろうか。観ていて恥ずかしくなるような“ドキュメンタリー・タッチもどき演技”も願い下げ。主演二人(井浦新と小田エリカ)は救いようがないほど大根。脇に寺島進や内藤剛志、谷啓、伊勢谷友介、吉野紗香、香川京子、由利徹といった多彩な顔ぶれを配しているにもかかわらず、大した演技もさせていない。

 それにしても“良い思い出だけを抱えて永遠の時を送る場所”である天国というのは、あまり愉快な所じゃないようだ。退屈で死んでしまう(もう死んでるけどさ ^^;)。

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