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元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「早乙女カナコの場合は」

2025-04-05 06:05:16 | 映画の感想(さ行)
 監督が、まったく信用出来ない矢崎仁司であり、普段ならスルーするところだが、原作が何度も直木賞候補に挙がっている柚木麻子なので敢えて鑑賞。結果、気分を害すること無く最後まで付き合えた。脚本を矢崎自身が手掛けていないことが大きいのかもしれないが、本作のシナリオ担当は朝西真砂と知愛という、名前も知らない面子。しかし、本作に限っては何とか上手く機能しているようだ。

 大学進学と同時に友達と2人暮らしをスタートさせた主人公の早乙女カナコは、入学早々に演劇サークルのシナリオ担当の長津田啓士に気に入られ、付き合うハメになってしまう。数年後、カナコは念願の大手出版社に入社が決まるが、留年を繰り返す長津田は卒業する気は無く、それどころか脚本を最後まで書きあげたことも無い。そんな中、カナコは就職先のエリート社員である吉沢洋一から告白される。柚木麻子の小説「早稲女、女、男」(私は未読)の映画化だ。



 マジメ一徹の女子と、ちゃらんぽらんな男との恋路という話は大して珍しくもないのだが、語り口はけっこう非凡で飽きさせない。まず、物語を長いスパンで捉えているあたりは好印象。約10年の年月が劇中で経過しており、それだけ主人公たちを掘り下げる余裕が生じる。たぶん勢いで交際が始まったカナコと長津田だが、徐々にすれ違いが生じるプロセスには無理が見られない。

 さらに、吉沢をはじめ、長津田を慕う新入生の本田麻衣子、吉沢を意識している同僚の慶野亜依子といった脇のキャラクターには確かな“肉付け”が施されており、展開が絵空事になることを回避している。結末はまあ予想通りなのだが、それまでの丁寧な作劇により、十分に納得出来る。

 矢崎の演出は今回は素材に寄り添って余計なスタンドプレイも控え、無難な仕上がり。主演の橋本愛と中川大志とのマッチングは良好で、別の作品での共演も見たいと思ったほどだ。山田杏奈に久保田紗友、臼田あさ美、中村蒼といった面々も手堅い仕事ぶりを見せる。

 しかしながら、ただ一人パフォーマンスの拙い者がいた。それは人気作家を演じる“のん”こと能年玲奈だ。橋本と能年は言うまでもなくNHKの朝ドラで共演していて、当時は橋本の演技と存在感は能年に後れを取っていたように思ったが、今では逆転してしまった。やはり“キャラクター優先”の俳優というのは、賞味期限が短くなる可能性があるということだろう。

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