元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「第7回九州ハイエンドオーディオフェア」リポート(その4)

2010-04-12 06:51:53 | プア・オーディオへの招待

 前のアーティクルで触れた“北九州ジャズオーディオサミット”の席上で雑誌「ジャズ批評」の創立者のレクチャーも行われたが、その中で興味深い一節があった。それは、音楽に接するのに一番良いシチュエーションは実演だと言われているが、それは事実だとは限らないということだ。

 たとえばジャズのライヴでは確かに演奏者を目の当たりにするという意味で臨場感はあるが、音自体は満員の客が吸音材の役割を果たして冴えない展開になることがある。クラシックのコンサートでも、ホールによってはベスト・ポジションの座席じゃないと要領を得ないサウンドしか聴けない。ロック系ならばPAの調子によって音の善し悪しが大きく左右される。つまりは純粋に音の良さだけを追求するのならば、実演がベストだとは言えないのだ。

 ライヴだけを追っかけるよりも、ミュージシャンがその時点で一番良い(と思われる)パフォーマンスが収録された音楽ソフトを、万全な状態で再生することを目指すピュア・オーディオの方が、音楽の真髄(みたいなもの)を引き出す事もあるのではないか・・・・という指摘は、私は正しいと思う。このことを(意識的・無意識的にかかわらず)自覚している音楽ファンにとっては、ピュア・オーディオは今後もずっと大いなる興味の対象であり続けることだろう。

 さて、会場でAVシステムのデモも行われていたが、これについてはあまり書く事がない。ただ言えるのは、音響機器を使用していることではピュア・オーディオと同じだが、両者はまったく違う方法論によって成り立っているということだ。音楽鑑賞とヴィジュアル鑑賞とを一緒のシステムで併用するのはスマートではない。それぞれのソフトに思い入れのあるユーザーならば、とりわけそう感じるはずだ。

 フェア全般に対する要望としては、例年通りである。つまり“ハイエンドフェアをやるならローエンドフェアもやってくれ”ということ。自動車よりも高いシステムを揃えられる層なんか、この不況時にはそういないと思う。安価で良い物を紹介してこそ、ユーザーも拡大するのだ。

 それはそうと、数年前まで社団法人・日本オーディオ協会の主催する「九州A&Vフェスタ」というイベントも行われていたのだが、いつの間にやら立ち消えになっている。あっちの方が会場の交通の便も良かったし、幅広い価格帯の製品を揃えていたことを思い出す。復活を願いたいところである。

(この項おわり)

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