元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「ベイマックス」

2015-01-24 06:34:50 | 映画の感想(は行)
 (原題:Big Hero 6)予告編やPR内容によってハートウォーミングな話だと予想していたら、全然違ったのには面食らった。これは原題が示すように、ヒーロー戦隊ものだったのだ。しかも原作はアメコミだという。まさに“看板に偽りあり”である(笑)。ならば活劇映画として面白いのかというと、そうではない。何とも扱いに困る作品なのだ。

 舞台は近未来、先端技術が集う都市サンフランソウキョウに暮らす14歳の少年ヒロは、ロボット製作に関して飛び抜けた才能を持ち、裏通りでのロボット格闘技に夢中になっていた。兄のタダシは、そんな弟を自分が通う工科大学に連れて行く。タダシの仲間達や著名な担当教授と出会って感動したヒロは、この大学に入ることを決める。



 しかしある日、研究所を襲った火災によりタダシは不慮の死を遂げてしまう。落ち込むヒロの前に現れたのが、タダシが生前作ったケアロボットのベイマックス。その献身的なフォローによってヒロは少しずつ立ち直るが、やがて事故の裏に巨大な陰謀が潜んでいることに気付いた彼は、兄の仲間達と共に戦いに挑む。

 ヒロが簡単にベイマックス向けのバトル用アタッチメントを作成したり、兄の仲間それぞれの特技を活かした高性能パワードスーツを考案するというのは、いかにも安易な筋書きだ。映画はこれを“天才少年だから”という一点で説明しようとするが、それでは全然面白くない。少しは悩んだり、試行錯誤を繰り返したりといったプロセスを経ないと、ドラマとして盛り上がらないのだ。

 そもそも、14歳の時点で大学生を遙かに凌ぐ学力を備えているのならば、単に大学の正規カリキュラムを奨めるよりも、もっと特殊な進路を提示した方が良かったのではないだろうか。敵の首魁との戦いはそれなりに盛り上がるが、結果的に犠牲者を出さない“健全な”展開にするのならば、序盤でのタダシの死があまりにも陰惨に思えてしまう。導入部をもうちょっと工夫すべきではなかったか。

 サンフランソウキョウの造形は日本の観客に対するサービスのつもりだろうが、どう見たって珍妙だ。原作は日本が舞台で、登場人物も全員日本人らしいが、どうして映画版でそれを踏襲しなかったのだろうか(作る自信が無かったかのかもしれないが ^^;)。

 各キャラクターにはあまり魅力も愛嬌も感じられず、ヒロと叔母のキャスとの関係性も通り一遍だ。だいたい「アベンジャーズ」等をはじめとして実写のアメコミ映画化作品が多数存在している現状で、何の目立ったセールスポイントも無くアニメーションを作成した意図というのも理解出来ない。

 ドン・ホールとクリス・ウィリアムズによる演出は可も無く不可も無し。スコット・アツィットやライアン・ポッターら声の出演には特筆すべきものは感じない。また、ディズニー作品にしては珍しくオリジナル音楽や使用する既成楽曲に関しては印象が薄い。エンドクレジットの後のエピソードには続編が出来そうな雰囲気も窺えるが、この調子ではあまり期待出来ないだろう。
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