元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝」

2008-09-05 06:35:11 | 映画の感想(は行)

 (原題:The Mummy,Tomb of the Dragon Emperor)別段そんなに優れたものを期待しているわけではなく、実際内容もそれに準じたものなのだが、先日観た「インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国」よりはずっと面白い。何より“思い切りの良さ”が清々しい。

 シリーズの過去の諸作との絡みを考慮しなければならず、コアなファンも大勢いる「インディ・ジョーンズ」が必要以上の脚本の精査と大いなる妥協を経た結果、あの程度の出来で終わってしまったのに対し、こっちの製作スタンスは羽根のように軽く、それが製作プロセスに好影響を与えていると思う。

 前回まで主人公の妻エヴリンを演じたレイチェル・ワイズはオスカーも取って女優として箔が出てきたせいかあっさり降板、でも少しもめげることなく代打にマリア・ベロを起用し、その他のキャストとスタッフの都合が付けば即クランクイン・・・・みたいなスタイルで(いや、実際のところは知らないけど ^^;)肩の力が抜けたようなスムーズな体制によって脳天気な活劇を撮りあげる、そのライト感覚は見上げたものだ。

 今回は北京五輪に便乗するつもりもあったのか、はたまた“さる筋”からの要請があったのか、舞台は中国。古代中国を支配していた悪辣な皇帝が2千年の眠りから覚め、主人公一家とバトルを繰り広げる。たぶん秦の始皇帝をモデルにしていると思われるこの皇帝を演じるのはジェット・リーで、かつて張藝謀監督の「HERO」で始皇帝を狙う刺客に扮していた彼が、今回は皇帝自身を演じているのが面白い。女呪術師役としてミシェル・ヨーも出てきてリーと立ち回りを演じるのも興味津々だ(この場面はもっと長くても良かった)。

 リック(ブレンダン・フレイザー)と息子のアレックス(ルーク・フォード)とのコンビはこれまた「インディ・ジョーンズ」の新作と似たところがあるが、もったいぶった前振り無しに“親子漫才”から“親子共同戦線”へと発展するあたりも笑える。超能力を持つ皇帝と数万の兵馬俑軍団を前にして、誰が見ても圧倒的不利なのに、この明るすぎる一家なら何とかなると思わせてしまう気楽さは、このシリーズ独特のノリであろう。

 主人公達がブッ倒してゆくのも生身の人間ではなく土人形なので、残虐感はゼロ。アクション・シーンもかなり練られていて、大規模な合戦はもとより上海の街でのチェイス場面などは段取りが上手くて思わず見入ってしまった。ロブ・コーエンの演出はケレン味はないけど堅実で、ヒロイン役のイザベラ・リョンの可憐さも特筆もの。2時間弱がアッという間に過ぎていき、観た後にはまったく何も残らない、誰にでも奨められる明朗活劇編だ。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「オスカー」 | トップ | インシュレーターを試してみる。 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

映画の感想(は行)」カテゴリの最新記事