元・副会長のCinema Days

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「行け!男子高校演劇部」

2011-08-13 06:58:25 | 映画の感想(あ行)

 さすがは英勉監督である。まったくブレていない。今回は俳優・池田鉄洋の初脚本作を採用しているが、演出タッチは「ハンサム★スーツ」や「高校デビュー」とほとんど一緒。まさにおちゃらけ映画の王道を往く、天晴れな仕事ぶりだ。

 高校に入学したばかりの主人公の小笠原は、演劇部の新人勧誘アトラクションでジュリエットに扮した“女優”に一目惚れ。早速入部するが、ここが男子校であることをすっかり忘れていた(爆)。くだんの“女優”は男であり、しかもその“女優”をはじめとする3年生は受験勉強のため早々に退部。残されたのは小笠原を含めた3人だけで、あと2人部員を確保しないと廃部になる。

 アイドルオタクの顧問教師のいい加減さに閉口しながらも何とか部員を集めた小笠原だが、演劇の見学に行った女子高で可愛い女生徒にまたしても一目惚れしてしまい、開催の迫る演劇祭で何とか良いところを見せようと、悪戦苦闘する。

 今の日本映画のトレンド(?)のひとつである“お涙頂戴路線”とは最も遠い、全編これおバカでC調のネタ振りに終始するシャシンで、その思い切りの良さが気持ちいい。ギャグの飛ばし方は前作までとさほど変わらないが、多少観客が“引いて”しまっても気にしない不貞不貞しさはパワーアップしたような印象を受ける(笑)。そもそもスポ根ものという基本線をしっかり維持しているので、ハメを外しても映画が空中分解することはないのだ。

 さらに、クライマックスの演劇大会では演劇人としての池田鉄洋の資質が活きている。主人公達が選んだ演目はO・ヘンリーの「最後の一葉」だ。このありふれた題材を、このダメダメ演劇部はアッと驚くエンタテインメントに仕上げてしまう。だが好事魔多し、劇が佳境に入ったところで思わぬトラブルが。それを機転で乗り越え、大団円へと繋げてしまう展開は(予想通りではあるが)かなり盛り上がる。

 主演の中村蒼をはじめ、池松壮亮、冨田佳輔、川原一馬といった演劇部の面子はどれも堂に入った怪演。新川優愛や足立梨花の女優陣も可愛く、さらには大和田伸也や堺雅人などが思わぬ役で出てくるのは楽しい。購買部のおばちゃん(八木小緒里)と男子生徒との色恋沙汰だけは無駄のような気がするが(笑)、ともあれ十分に楽しませてくれる快作と言えよう。

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