元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

最近購入したCD(その14)。

2008-05-03 06:57:22 | 音楽ネタ
 近頃買ったロックのディスクで最もハマったのが、カナダはモントリオールの出身の5人組シンプル・プランの3枚目のアルバム、題名はそのものズバリの「シンプル・プラン」。メロディアスなパンク・サウンドを聴かせる、いわゆる“エモ系”の範疇に入るバンドながら、ひとつのカテゴリーの枠内では捉えられない柔軟な音造りを見せる。ただし、硬軟取り混ぜた曲調の中に感じられるのは、まさにポップ・ミュージックの王道を往くような分かりやすさだ。



 どのナンバーも口ずさめるほどキャッチー。捨て曲は無し。誰が聴いても良さが伝わってくる。ヒネた手練れのロック・ファンなどは“これだけ向こう受けを狙ったサウンドで良いのか!”と文句の一つも垂れるところだろうが、幅広い聴衆にアピールするような路線のどこが悪いのかと、良い意味での開き直りも感じさせる。とにかくポピュラー音楽なんて売れてナンボだ。録音もロック・アルバムの水準を超える出来映え。手放しで奨めたいディスクである。

 ドイツ出身のリコーダー奏者、ドロテー・オーバーリンガーが17~18世紀にイタリアで作曲されたソナタの数々を取り上げた「フラウト・ドルチェのための“イタリア・ソナタ集”」は最近の私のヘヴィ・ローテーションである。女流リコーダー奏者といえば、ミカラ・ペトリという才色兼備のプレーヤーがよく知られているが、オーバーリンガーはペトリほどの華やかさはないものの、確かな技術に裏打ちされた表現力は、作品をじっくりと聴いていこうというリスナーにはぴったりだ。



 コレッリやジェミニアーニ、サンマルティーニ、ヴィヴァルディのナンバーが並んでいるが、コレッリの「ラ・フォリア」を除いて馴染みのない曲が目立つ。しかし、チェロやキタローネ、バロック・ギターなどをバックに自在に作品の旋律美を伝えるオーバーリンガーのプレイは、聴いていてまったく飽きない。録音は音場の奥行きが幾分不足していて、音色も硬いのだが、リコーダーのスクエアな音像はそれを補って余りある。

 テクニックには定評のある中堅のドラマー大澤基弘、松尾明のバンドでも手腕を発揮していたピアニスト寺村容子、エレキもこなす技巧派ベーシスト磯部ヒデキの3人からなるジャズ・ユニット「十五夜」のデビュー・アルバム「うさぎの大冒険」はなかなかチャーミングな一編だ。



 ピアノの柔らかい音色がリスナーを包み込むような雰囲気を醸し出す。しなやかな歌謡性が無理なく耳に響く。大仰なアドリブや鼻につくスタンド・プレイはまったく見当たらず、どこまでも優しい叙情性が印象的だ。ただし決して軟派な演奏ではなく、キレとコクのあるシャープな展開も見せる。曲はオリジナル中心だが、パット・メセニーやオスカー・ピーターソンのナンバーも自家薬籠中のものとして取り上げている。録音も良好で音場が自然だ。なお、タイトル曲の「うさぎの大冒険」は、まさに「うさぎの大冒険」としか思えない曲調で笑ってしまった。このチューンを聴くだけでも手に入れる価値はある。

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