元・副会長のCinema Days

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プロ野球セ・リーグの“マイナーリーグ化”を防ぐ方法。

2020-11-28 06:52:06 | その他
 去る2020年11月25日に、福岡ソフトバンクホークスが日本シリーズでセ・リーグ覇者のジャイアンツを4連勝で退け、パ・リーグ球団として初の4連覇を飾った。今年はコロナ禍の関係で優勝パレードは行われないのが残念だが、地元の球団がこれだけ活躍してくれるのは、あまりスポーツには興味はない私にとっても実にうれしいことだ(優勝セールという特典も付いてくるし ^^;)。

 さて、シリーズの内容はまさに一方的で、同じく4連勝だった前年と比べても、圧倒的な力の差があったと言わざるを得ない。しかもジャイアンツは2位以下の球団を寄せ付けずにリーグ優勝したにも関わらずである。すでにマスコミ等では両リーグの“格の違い”が指摘されている。この10年間で日本シリーズをセ・リーグのチームが制したのは1回だけ。ここ20年間でも5回しかなく、都合により本年度は実施されなかった交流戦でも、過去の成績ではセ・リーグはパ・リーグの後塵を拝している。

 セ・リーグが弱いのはDH制が無いからだとか、狭い球場が多いだとか、いろいろと言われているが、たとえDH制を採用して各球場をリニューアルしようとも、はたまたクライマックス・シリーズをセパ混合にしたとしても、状況はあまり変わらないと思う。ちなみにMLBもア・リーグとナ・リーグではDH制の有無があるが、ワールドシリーズではここ20年間両リーグがほぼ半数ずつ優勝数を分け合っている。

 セ・リーグが弱い理由というのは、ズバリ言って巨人の存在だと思う。

 今回の日本シリーズの期間中に、巨人の某コーチが“ジャイアンツというネームを背負っているわけだから。すごく歴史の古いチームでやっているわけだから”というコメントを発したらしいが、指導者がそういうセリフを吐ける環境が存在すること自体が問題なのだ。今どき、ネームだのプライドだの伝統的な球団だのと言い募ってみても、そんなのは選手にプレッシャーをかけるだけで何もならない。他の11球団では、たぶんあり得ない事態だろう。

 確かに、ジャイアンツは歴史の古い球団だ。しかし“歴史”や“伝統”では勝てない。また、よく4番打者を“第何代目”と呼ぶが、そんなどうでもいい言い方が罷り通ってしまうのが、この球団の特異性をあらわしている。そして巨人の親会社は全国紙だ。傘下のテレビ局とのメディアミックスにより、昔から高い人気を誇ってきたし、今でも観客動員数は上位であるし、マスコミのヨイショも横行している。

 だが、この“黙っていても客が入る球団”を抱えているリーグは、他球団の自助努力を阻害する。いくら野球人気が衰えたといっても、巨人戦は他の5球団にとってドル箱だ。しかも、巨人はその実力が陰りを見せたとしても、同一リーグからめぼしい人材をかき集めて“球界の盟主”たる比較優位を保とうとする。

 対してパ・リーグには“球界の盟主”なんてものは存在しない。いくらホークスが強いといっても、地方球団にすぎない。元々は30数年前に大阪から馴染みのない九州の地にやってきて、ゼロからチームを作り上げてきたのだ。他の5球団も同様で、プレー内容と営業努力に手を抜けば、客は入らない。相手がホークスでも、力一杯ぶつかっていかなければ、ファンは納得しない。ひとつのチームに依存しているセ・リーグとは、次元が違うのだ。

 これは無理な注文だが、巨人が無くなるか、あるいは東京を離れて地方で出直すかしなければ、セ・リーグの根本的な浮上は覚束ないだろう。

 巷ではセ・リーグのことを“セカンド・リーグ”だの“J2”だのと揶揄する向きもあるらしいが、このままではセ・リーグのマイナーリーグ化は避けられない。別に巨人が沈もうがどうしようが興味はないが、巨人が弱くなるとリーグ全体が左前になる図式は愉快になれない。一方、もしもホークスが弱くなるようなことがあっても、パ・リーグのレベルが落ちるとは考えにくい。ホークスを凌駕する別チームが台頭するだけだ。セパ両リーグの格差は、すでに構造的なものになっている。いずれにせよ、日本シリーズがワンサイドゲームの連続になり、興趣を削ぐようなことは願い下げだ。
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