元・副会長のCinema Days

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「6アンダーグラウンド」

2020-05-11 06:46:21 | 映画の感想(英数)
 (原題:6 UNDERGROUND )2019年12月よりNetflixで配信。マイケル・ベイ監督による“アクション超大作”がネット配信のみとは、にわかには信じがたい。間違いなく全国一斉拡大ロードショー向けのシャシンだ。まあ、裏の事情みたいなものもあったのかもしれない。ベイ監督は90年代まで活劇路線で名を売ったものの、2007年からは「トランスフォーマー」というファミリー向けのヒットシリーズに手を染めてしまい、彼がここで“本業”に戻るのを周囲が面白く思わなかったとも考えられる(笑)。とはいえ、久々に屈託無く楽しめる好編なのは確かだ。

 ネオジム磁石の開発で成功を収めたアメリカの億万長者(通称:ワン)は、私財を投じて世界中の不穏分子を潰すための武装グループを結成する。各メンバーは表向きは死んだことになるが、代わりに国籍などに縛られずワールドワイドに活動する自由を得る。今回の任務は、中央アジアの国トゥルギスタンの横暴な独裁者ロヴァク・アリを始末し、ロヴァクの弟でリベラル派のムラットを大統領の座に据えることだ。



 フィレンツェでのミッションではロヴァク配下の法務スタッフを片付けることが出来たが、メンバーの一人(通称:シックス)が犠牲になってしまう。ワンはシックスの代わりに元デルタフォースの狙撃手(通称:セブン)をスカウトし、チームは幽閉されているムラットを脱出させるために香港へ向かう。

 冒頭、延々と展開するフィレンツェでのカーチェイスには度肝を抜かれる。投入される物量や、観ていて腹が一杯になるほどのクラッシュ場面の連続に驚きつつも、アクションの段取りは実に良く考えられており、感心するしかない。このシークエンスだけでも本作をチェックする価値がある。

 ベイ監督作品に登場人物の内面描写を期待するのは筋違いだが(笑)、この映画ではワンの微妙な屈託とか、凄腕のヒットマン(通称:スリー)と元CIAの女性工作員(通称:トゥー)との色恋沙汰、セブンの戦時下でのトラウマなど、深くは掘り下げないが要領良くそれぞれのキャラクターを描き込んでおり、ドラマが安っぽくなるのを防いでいる。

 中盤の香港での派手な銃撃戦から、クライマックスのトゥルギスタンでの大暴れまで、嵩に懸かったように見せ場を繰り出すこの監督の力業には感服するしかない。さらに、ワンが開発したネオジム磁石が“大活躍”する終盤の船上での戦いには笑わせてもらった。主演のライアン・レイノルズをはじめ、メラニー・ロラン、マヌエル・ガルシア=ルルフォ、アドリア・アルホナ、コーリー・ホーキンズ、ベン・ハーディといった顔ぶれも申し分ない。幕切れは続編を匂わせるが、この調子ならばシリーズ化も大丈夫だ。
コメント
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