元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「Facebookで大逆転」

2015-02-27 06:26:35 | 映画の感想(英数)

 (原題:FRIENDED TO DEATH )タッチは軽薄で演出にはコクが無く、キャストの演技にも特筆すべきところはないというチャラけた作品なのだが、観終わってみれば満足感を得られたりする。やはり題材を吟味して選べば、作りが大したことが無くても印象に残る映画は出来てしまうものなのだ。

 ロスアンジェルスで交通取締官として働くマイケルは、手当たり次第に切符を切りまくり、運転手からクレームを付けられるとその様子を頻繁にネットにアップして喜ぶという、どうしようもない野郎である。そんな鼻つまみ者の彼だが“オレはFacebook上ではたくさんの友達がいるのだ!”と豪語し、反省する気配は無い。

 そんなある日、彼は傲慢な働きぶりから仕事をクビになり、さらには親友だと思っていたジョエルが自分に声を掛けないで誕生日パーティーをやっていたことをFacebookのタイムラインで知ってしまう。怒ったマイケルは同僚のエミールのIDを勝手に借用して、自分が死んだという記事をアップする。そうすることによって、葬式に来てくれる本当の友達がどれだけいるのか確かめようとするのだが、ある理由からマイケルをストーキングする女の存在によって、事態は意外な展開を見せる。

 実生活ではクソみたいな性格でも、ネット上では大勢の“友達”に囲まれているからそれでいいのだ・・・・などという勘違いをしている奴を槍玉にあげているのは面白い。私みたいに無駄にネットワーカー歴が長い人間からすれば、そんな奴は珍しくもないのだが、それでもSNSが普及した現在では取り上げる価値がある。

 もちろんマイケルが仕組んだ“葬式”がそう上手くいくはずもなくドタバタの笑劇が繰り広げられるのだが、その騒動を経て登場人物達が幾ばくかの“成長”を遂げるのは観ていて気分が良い。

 ネット上の“友達”なんか、本当の友人ではない。たとえオフ会などで実際に相手に会っても、どこの馬の骨とも知れない者との付き合いはそう意義のあるものではない(多くの場合、ただの気分転換だ)。しかしながら、ネットのどこかに自分を理解してくれる(かもしれない)人間も存在しているという可能性を示唆している本作の志は決して低いものではない。特に、主人公に辛く当たっていた者が実はマイケルを心配していたことが明らかになるシークエンスは、結構ジーンと来てしまった。

 主役のライアン・ハンセンをはじめ馴染みの無い連中ばかり出ているが、こういうお手軽な作品ではあまり気にならない。監督は若手女流のサラ・スミックで、ストーカー女役で出演もしている。西海岸らしい(?)明るくカラフルな映像も楽しい。
コメント
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