元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「アラジン」

2012-12-19 06:06:56 | 映画の感想(あ行)
 (原題:Aladdin )92年のディズニー製アニメーション。結論から先に言うと、この一つ前のディズニー作品である「美女と野獣」に比べて、本作はレベルダウンしている。・・・・ということを書くと、いろいろ批判もあるだろう。第一、同じディズニー作品といっても、こっちはアドベンチャー、前作はラブ・ストーリーだ。監督もアニメーターも違う。比べるのがおかしいのである。

 でも、公開当時は多くの観客は大ヒットした「美女と野獣」に触発されて劇場に足を運んだのは確かだろうし、配給側も“「美女と野獣」をも越えるアニメーションの傑作”てな感じで売ろうとしていた。比べたくなるのも人情である。

 まず、主人公のアラジンとジャスミン姫のキャラクターは、どこにでもいる若者像であり、無難ではあっても面白味に欠ける。悪役の大臣も絵に描いたようなワルでこれも意外性がない。



 コメディ・リリーフを務める脇役はアラジンの飼っているサルと、大臣のオウム、ジャスミンの虎、と3匹もいて面白さが分散される。しかも、魔法の絨毯が人格を持って重要な役割を演じているので、ますます印象が薄くなってしまう。

 舞台が陰影に乏しいアラビアのせいなのか、色彩が前作に比べてイマイチ。宮殿の造形、内部のセットにしても豪華さが不足している。キャラクター・デザインにしても完全に前作の方が上。表情の豊かさが段違いの差だ。

 主題歌をバックに、主役の二人が魔法の絨毯に乗って飛び回るシーンはさすがに美しいが、「美女と野獣」での二人が大広間で主題歌をバックに踊る場面のロマンティックさに比べると見劣りする。全体的に狂騒的なタッチであり、ジェットコースター・ムービーの線を狙っているが、大人の観客を満足させる出来かというと、深みが足りず不満が残る。

 しかし、魔神ジニーのキャラクターは出色! 声の出演はロビン・ウィリアムズで、得意の話芸と百面相(?)をアニメーションのレベルまでパワーアップさせており、観た後は“アラジンって、脇役だったんじゃないかな?”と思ってしまうほど。ジニーを見るだけで入場料のモトが取れるだろう。
コメント
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