米SF界の鬼才と言われたエリスンの、ヒューゴー賞受賞作のタイトル作を含む短編集で、60年代に書かれた作品を中心に編纂されている。発表当時はその暴力的なタッチが話題になったというが、残念ながら今読むと古臭い。
しかも、基本的にワン・アイデアで書き飛ばされたものが目立つせいか、何やら安っぽい印象も受ける。面白かったのは、サンタクロースが国際諜報部員だったという「007」のパロディ「サンタ・クロース対スパイダー」ぐらいだろうか。
で、なぜ本書を読む気になったかというと、言うまでもなく片山恭一の某ベストセラーのタイトルが、この本の題名のパクリであるからだ。まったく異なる内容でありながら、どうして似たタイトルを付けなければならないのか。これは片山が“元ネタなんか誰も知らないだろう”という世間を舐めた態度を取ったとしか思えない。そんないい加減なスタンスで製作に臨んでいる物書きが良い仕事なんか出来るはずもないのだ。