元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「ワイルド・イースト」

2009-05-17 19:58:47 | 映画の感想(わ行)
 (原題:Dikiy Vostok)93年製作のカザフスタン映画。監督は「僕の無事を祈ってくれ」などのラシド・ヌグマノフだが、本作は日本では封切られていない。なお、私は94年の東京国際映画祭で観ている。

 舞台は現代とも近未来ともつかない時代、天山山脈東部の荒野。小人族の農村に毎年やって来ては略奪を繰り返すバイク集団。とうとう村長まで殺された村人たちの反撃の手段は、なけなしの金を集めて腕の立つプロを集め、ならず者たちを撃退することであった。集まったのは6人、それに村人代表として元気のいい少年が戦力として加わる。果たして彼らに勝ち目はあるのか・・・・。

 こう書けば誰でもわかるように、この映画は「七人の侍」のパクリである。いや、舞台設定からして「荒野の七人」に近いかもしれない。展開から結末まで見事なほどそっくりである。で、“本家”と同じくらい面白いのかというと、残念ながらそう甘くない。

 粗筋はだいたい予想がつくので、それプラスどういう特徴を打ち出しているかが問題である。ナチスみたいなバイク集団の親分、「マッドマックス2」によく似たコスチューム、ラストの戦いはMTVを思わせる映像の凝りようではある。しかし、アッと驚くような仕掛けは最後まで見られず、何よりも演出がタルいので高揚感もまるでなし。

 カザフ映画という未知の素材にもかかわらず、あまりローカル的な面白さも感じない。「七人の侍」のパロディなら、わが国の「V・マドンナ大戦争」(85年)みたいな破天荒さを見せないと、あえてやる価値はないだろう。“お蔵入り”になったのも当然かと思われる。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする