元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

FOSTEXの新作スピーカーを試聴した。

2007-06-06 07:59:50 | プア・オーディオへの招待

 何度か足を運んでいる福岡市のオーディオショップ「吉田苑」にて、FOSTEXのスピーカーG-1300を試聴した。FOSTEXは日本のメーカーで、歴史は結構古い。スピーカーを自作してしまうほどのコアなマニアの間では、スピーカーユニットの製造元として知られるし、完成品のシステムとしても、ハイエンド機はNHKのスタジオモニターとして採用されている。G-1300は同社が一般ユーザー向け(とはいっても定価はペアで315,000円だが ^^;)に売り出したスピーカーシステムで、すでに専門誌などの評価は高い。どんな感じで鳴るのか興味津々だった。

 実際聴いてみた感想は、まず“J-POPにぴったりのスピーカー”ということだ。明るく伸びやかで、中高域が実に清々しく響く。ミニサイズなのでどっしりとした低音は出てこないが、どうせJ-POPのディスクには低音なんてロクに入っていないからこれで丁度良い。もちろん、J-POPを聴くにしては高価だが、世の中にはJ-POPを中心に聴くにせよ見栄えの良いシステムを御入り用な層、つまり“形から入る”というユーザーもけっこういて、そういうセグメント(?)には打って付けの商品である。何しろピアノ鏡面仕上げでルックス抜群。小振りでリビングに置いても圧迫感を覚えないし、インテリア面も申し分ない。一般ピープルの所有欲をくすぐる製品だ。

 もちろん、J-POPだけではなく小編成のクラシック(特にバロック)も気持ちよく鳴らすだろうし、ヨーロピアン・タイプのジャズにはかなりのパフォーマンスを発揮する。そういうジャンルが好きな人にとっては購入対象になろう。

 ただし、私個人としてはあまり食指は動かない。もとよりルックスにあまり気を遣わず(笑)、音と使い勝手がすべてで、外見が鏡面仕上げだろうが塩ビ仕上げだろうがまったく関係のない私にとって、確かに物理特性の優秀さによるスッキリとした鳴りっぷりは認めるものの、クセがなさすぎるこの製品は、イマイチ聴いていて面白くない。この価格帯ならば、海外製品にもっと個性的で楽しい音を出す機種があるだろう。

 それよりも今回興味を持ったのは、駆動するアンプだ。SOUL NOTEのda1.0という機種を繋いでいたのだが、これはかなりのスグレモノだと思った。SOUL NOTEは新しい会社ながら、某有名国内メーカーに勤めていたエンジニアが立ち上げたブランドなので、音造りも堂に入っている。デジタルアンプにしてはかなり温度感の高い音、つまり有機的な力感をメインにしており、しかもデジタルらしい分解能の良さもクリアしている。これは欲しいと思った。

 あと、専門誌などでは高い評価を受けている米国NuForce社のデジタルアンプIA-7Eも試聴したが、これがまったくダメ。サラサラとした透明感の高い音で肌触りが良いが、音楽を聴かせるツボがない。パッションあふれるはずの音楽を高品位な効果音みたいに小綺麗に流すだけでは、聴いていて楽しいはずがないのだ。

 それにしても、デジタルアンプが没個性で陰影に乏しいという評判はすっかり過去のものになった感がある。数年後に実家のメイン・システムのアンプを更改する予定だが、選択肢が増えるのは嬉しい限りだ。
コメント
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