テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ オオカミ男の想い出 ~

2015-02-23 21:47:03 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 うわわッ、こわッ!」
「がるる!ぐるるがる!」(←訳:虎です!表紙が強面!)

 こんにちは、ネーさです。
 文庫本の表紙で、こちらを睨みつけている?のは、
 オオカミ、それとも人狼?
 とすれば、この御本はホラーもしくはSF……ってことはなく、
 一級品のエッセイ作品なんですよ。
 さあ、本日の読書タイムは、名手さんの名品を、どうぞ~♪

  



              ―― ポーカー・フェース ――



 著者は沢木耕太郎さん、単行本は2011年に、画像の文庫版は2014年5月に発行されました。
 JTB紀行文学賞を受賞した『深夜特急』3部作、
 司馬遼太郎賞受賞の『キャパの十字架』他で知られる
 ノンフィクション作家・沢木さんは
 名エッセイストでもあります。

 この御本は『バーボン・ストリート』『チェーン・スモーキング』に続く
 沢木さんの第三作目のエッセイ集……なんですけど、
 『あとがき』によれば、
 『ポーカー・フェース』にするか
 『ポーカー・フェイス』にするか、で
 悩んだのだとか。

「ささいなァちがいィッ?」
「ぐるるがるぐる!」(←訳:大きな違いかも!)

 小さな出来事、
 ささやかな連想、
 そして回想。

 そうだ、初めて旅先で置き引きに遭ったのは
 あの国でのことだった――
 
 これまで、旅先での盗難とは
 まったく縁がなかったのに。
 バスターミナルで、
 バックパックを持っていかれてしまったんだよなぁ……

「わきゃゥ! それはァかなしいィ~!」
「がるぐるるぅ~…」(←訳:落ち込むよォ~…)

 旅慣れた方々でもドキドキしてしまうアクシデント、ですよね。
 御本冒頭に近いこの部分で、

 それで? どうしたんだ?
 旅は中断?
 ショックから立ち直って再開?

 と、思わず前のめりになっちゃった人は、
 ええ、もう沢木さんのエッセイのトリコです。

「どうなッたのでスかァ??」
「ぐるるがる?」(←訳:荷物と旅は?)

 荷物紛失事件は
 ちょっとビックリな結末を迎えます。
 さすがの沢木さんも苦笑い、なオチとは……。

 旅の思い出は、
 靴磨きの老人との出会い、
 さらに神田のお寿司屋さんと、
 お寿司屋さんの大将さんとの会話へと
 あちらに飛び、
 こちらに舞い戻り。

「いッけんッ、みゃくらくがァ、なさそうでェ~」
「がるるぐるる!」(←訳:そこが楽しい!)

 13編のエッセイが収録されていますが、
 あとがき、そして、文庫版あとがきも
 余韻深く、
 表紙のオオカミさんの画を
 あらためて見直すことになります。

 画家・小島武さんへの、
 片想いにも似た追慕。

「おおかみおとこさんのォ、ひょうしィにはァ~…」
「ぐるるがるるぐっるるる!」(←訳:こんな背景があったんだ!)

 読み手の気持ちをそらさない、というのでしょうか。
 巧みな語りのリズムに、
 エッセイ好きさんは陶酔必至!
 ぜひ、一読を♪
 

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