テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

語りの匠、ここにあり!

2018-11-20 22:16:55 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 うむゥ! かきィがァ、おいしィ~♪」
「がるる!ぐるるぅるるるがる!」(←訳:虎です!牡蠣じゃなくて柿ね!)

 こんにちは、ネーさです。
 親戚から柿をドカンといただいて、
 リンゴもドスンといただいて、
 家の中がオレンジや赤の暖色に染まっています。
 そして本日の読書タイムでも、
 ほわほわほっこり♪温かな空気を湛えるフィクション作品を、
 さあ、どうぞ~!

  



        ―― ヒイラギ荘の小さな恋 ――



 著者はチャールズ・ディケンズさん、2018年10月に発行されました。
 《世界ショートセレクション》シリーズの10冊目には
 《ディケンズ ショートセレクション》という副題と、
 『Boots at the Holly-Tree Inn』と英語題名が付されています。

 19世紀英国の文豪チャールズ・ディケンズさん(1812~1870)といえば、
 年末が迫るちょうど今頃、
 英語圏で劇が上演されたりする“あの作品”で有名ですね。

「すくるゥーじィ!」
「ぐるるるる・がぅるる!」(←訳:クリスマス・キャロル!)

 長編作品の『オリヴァー・ツイスト』『二都物語』、
 中編作品では『クリスマス・キャロル』等、
 ディケンズさんの著作は
 現在も読み継がれている傑作ばかりです。

 そして、この御本に収録されているのは、
 《ショートセレクション》の名の通り、
 短編6作品。

「みじかいィけどォ!」
「がる~!」(←訳:濃い~!)

 私ネーさ、
 出来るだけ予備知識をシャットアウトして、
 読み始め……驚かされました。

 美味い、いや、巧い!
 なんという巧みな語り!

「ぐんぐんッ、ひきこまれェまス!」
「ぐるがるるるる!」(←訳:目が離せないよ!)

 長編とは違う切れ味の良さが、
 最も際立っているのは
 表題作品『ヒイラギ荘の小さな恋』でしょうか。

 語り手は、
 宿屋《ヒイラギ荘(ホリーツリーイン)》で働く
 コッブズさん。

 誰とも知らぬお客さんに請われてか、
 コッブズさん、
 或るエピソードを披露します。

 かつて彼が見知った小さな、
 しかし、
 世の何よりも尊い恋のものがたりを。

「うそもォ、いつわりィもォ!」
「がるるぐる!」(←訳:小細工もなし!)

 怖ろしくなるほどに素直な、
 “奇策”を退けたコッブズさんの語りは
 幾重もの余韻を残して幕を閉じます。

 閉じた幕の向こうに
 長い長い物語が残されていることを
 読み手に感じさせながら。

「……ためいきィ、でスゥ~…」
「ぐるるる……!」(←訳:凄いなあ……!)

 もしかして、なのですが。

 映画ファンの方々にはよく知られるあの大ヒット作品、
 作品名をここに書いちゃうと
 ネタバレにつながりそうなので書けませんが、
 あの映画の原作、源流はここにあるのか?
 と思わされもしました……
 (ヒント:主演はマーク・レスターさん&トレイシー・ハイドさん)。

「みじかくてもォ、ずしんッとォきまス!」
「がるるるるぐる!」(←訳:これこそが語り!)

 現代の作家さんたちの作品と比べれば、
 単純すぎる?
 素直すぎる?
 甘しぎる?

 いえいえ、比べてみて分かるのは、
 語り部ディケンズさんのふところの広さ!

 金原瑞人さんのすばらしい訳文、
 ヨシタケシンスケさんのキュートな画に
 心底から拍手しつつ、
 どうか全活字マニアの皆さま、
 ぜひ、一読を~♪

 
コメント
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