テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

香りは雅に。

2010-03-29 23:09:34 | ブックス
「くんかッ、くんくんッ! くんすかッ!」
「がるぐるっ!」(←訳:くんくんっ!)

 何やら、獰猛系の毛玉たちが不審な行動をしておりますね。
 テディちゃ、虎くん、どうしちゃったんですか?

「ネーさ!
 におうゥでス! このォごほんからァ、におうゥのでスよッ!」
「がるー!ぐるるー!」(←訳:うん!何かが匂うよ!)

 あのね、出来れば《香る》と表現していただけませんこと?
 何故と申しまして、ええ、そうです、
 理由は一目瞭然!な、こちらを、どうぞ~!



                 ―― 香道具(こうどうぐ) ――


 
 編者はNHK『美の壺』制作班のみなさん、’10年2月に発行されました。
 ’10年度に入ってもアート好きさんたちに好評を博している
 NHK教育TV『美の壺』から生まれた御本です。

「ふむむッ!
 これはァ、あーとのォ、かおりィでスかッ?」
「ぐるるぐるがるー!」(←訳:歴史の香りかもー!)

 ゆかしい日本文化のひとつ、香道――
 その歴史を辿ると、なんと、1500年もの昔にさかのぼります。
 失礼ながら、御本の本文27ページの文章を
 ちょこっと拝借させていただきましょう。

  推古三年(595)卯月、
  両腕で抱えるほど大きな流木が淡路島に漂着した。
  薪にしたところ、
  えもいわれぬ芳しい煙が立ち、
  驚いた島人は天皇に献上した――

 淡路島に流れ着いたのは『香木』だったんですね。
 
「ふむむゥ! こうぼくからァ」
「ぐるぐるるっ!」(←訳:香が作られるんだっ!)

 平安時代、貴族さんたちの間で
 『薫物(たきもの)』は、たいそう流行いたしました。
 この『薫物』という上流社会のたしなみが
 新たに整備され、
 現代の香道に近いものに変化してゆくのは、
 室町時代のこと、でしょうか。

 室町時代すなわち足利家の将軍たちの時代って、
 とっても不思議な時代ですね。
 歴代の将軍さんたちの政治・政務能力は、
 三代将軍の義満さんを例外として、
 それはもう、記録的センスの無さ、
 恐ろしいへなちょこぶりでした。

 しかし、迷妄する政治の陰で、
 次々と文化の華がはじけてゆきます。
 茶道、立花、絵画、
 そして香道も、
 この時代に確立されました。
 香道に用いるお道具類も、
 室町という時代に大きく花開きます。

「あらたなるゥ、はじまりッ、でスねッ!」
「がるるっがるるっ?」(←訳:どんなのっどんなのっ?)

 壱のツボでは『神聖な小宇宙を支える三本の脚』、
 弐のツボでは『香席に四季のしつらい』、
 参のツボでは『香りを通じて王朝の世界に遊ぶ』。
 三つのツボに接すれば、
 香道具の《かたち》が
 じんわりと朧に見えてくるかのようです。

「かちょいいィッ!
 こてんてきィだけどォ」
「がるがるる!」(←訳:でもモダンだ!)

 大切に大切に伝えられてきた香道具たちは、
 触ってみたい!使ってみたい!
 と観る者の心を波立たせます。
 和の美、和のアート好きさんに、
 おすすめの一冊ですよ~♪
 かの有名な『蘭奢待(らんじゃたい)』の写真も載っていますから、
 歴史好きさんもぜひ!

「わォッ! これがッ!」
「ぐるるぐる~るっ!」(←訳:本物の歴史の香りっ!)

 はい、歴史の香りをみんなで、くんくん!……は出来そうにありませんが、
 その面影の一片なりと、御覧あれ!
  
コメント
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