「差不多」的オジ生活

中国語の「差不多」という言葉。「だいたいそんなとこだよ」「ま、いいじゃん」と肩の力が抜けるようで好き。

ザ・マジックアワー

2008-08-15 | 映画
三谷幸喜監督作品「ザ・マジックアワー」を観ました。笑い通しの映画。テンポよいコメディで、メイキングビデオのように映画作りの舞台裏が伝わってきます。たぶん三谷監督は、映画作りがおもしろくて仕方がない。だから、その面白さをみんなに知ってもらいたくてこの映画を作ったのではないかな、と感じました。映画人のワクワク感が伝わってきます。

=以下、goo映画から=
港町・守加護でクラブ「赤い靴」の支配人を任されている備後は、ギャングのボス・手塩の情婦・マリに手を出したのがバレて大ピンチ。5日以内に幻の殺し屋・デラ冨樫を探し出して連れて来なければ命はないと脅される。が、デラの居場所に皆目見当もつかない備後は替え玉を仕立てる苦肉の策に出る。そこで白羽の矢が立ったのが売れない俳優・村田大樹。主演映画を撮りたいと村田を騙し守加護へ連れて来るのだった。


舞台がいかにもセットという街。そこに登場する人物もいかにもギャングであったり、いかにも愛人であたり、いかにもありそうなセリフを口にしたり、と徹底的にベタにB級映画的路線を進むのですが、そこは鬼才・三谷監督。奇想天外な「映画中映画」という手法で、(映画の中の)現実と(映画の中の)作品をみごとに融和させながらストーリーを進めていきます。

笑いの中心は、やはり主役の佐藤浩市さんが演じる、売れないけれど映画が大好きな役者・村田。なにせ、映画撮影だと騙されてつれてこられた人物です。周囲の人々は全員が現実の世界に生きて会話や行動をしているのに、村田だけが、それが映画の撮影だと信じて妙な受け応えをするのですから、ズレ感が常に笑いを生み出すのです。そして、実はそれが我々という現実からみれば全部が映画であるという二重構造があるからこそ、ますます面白くなるわけです。

じゃあ、単なるドタバタコメディか、というとそれだけでもないように思います。表題の「マジックアワー」は夕暮れ時のほんの一瞬、世界が一番美しく見える瞬間のことで、映画人の間ではこの時間の撮影がもっとも人物や風景の映りが素晴らしいものになるそうです。で、三谷さんは観るものにエールを送ってくる。「誰にでもマジックアワーはある。人生のマジックアワー、最高の時間、夢をあきらめずに求めて!」と。でも、そのマジックアワーを逃してしまったらどうするか。作品の中でこんなセリフが出てきます。「次を待つのさ。太陽がある限り、マジックアワーは明日もある」。失敗しても、またチャンスはある、と。暖かくジンワリと来る場面です。

ラスト10分は、もう面白さ大爆発です! いつもながら三谷作品はいいですねえ。豪華な俳優人の楽しそうな演技が印象深い。お奨めの一本でした。

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2 コメント

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Unknown (jamsession123go)
2008-08-15 19:09:29
こんにちは。
レビュー堪能させていただきました。

>「誰にでもマジックアワーはある。人生のマジックアワー、最高の時間、夢をあきらめずに求めて!」
>「次を待つのさ。太陽がある限り、マジックアワーは明日もある」

この台詞にこの映画の良さがすべてを表していますね。
有頂天ホテルは、とても「楽しい」映画でしたが、この映画は、有頂天を遙かに上回る映画だったと思います。
見事にしてやられた1本ですね。
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jamsession123goさん (ての)
2008-08-16 15:10:23
jamsession123goさんレビューでのお奨め作品でしたので行かねば、と思っているうちに上映期間ギリギリになってしまいました。いい映画でした。ありがとうございます。
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