「差不多」的オジ生活

中国語の「差不多」という言葉。「だいたいそんなとこだよ」「ま、いいじゃん」と肩の力が抜けるようで好き。

「告白」

2008-10-21 | 
湊かなえさんという方のデビュー作「告白」。これ、すごいです。読書の秋に是非是非と強くお奨めします。読み出したら止まらない。てのは昨日昼間に買った本を一気に夜中前までに読みきってしまいました。自身の倫理観とか正義感とかが問われます。「あなたは教師の行動をどう思う?」と、この本を読んだ方と話をしたくなるような本です。

=以下アマゾンから=
我が子を校内で亡くした女性教師が、終業式のHRで犯人である少年を指し示す。ひとつの事件をモノローグ形式で「級友」「犯人」「犯人の家族」から、それぞれ語らせ真相に迫る。選考委員全員を唸らせた新人離れした圧倒的な筆力と、伏線が鏤められた緻密な構成力は、デビュー作とは思えぬ完成度である。


宮部みゆきさん的な読ませ方です。立場を変える語り手が登場することで物事の多面性が浮かび上がる。表に見えていたものが実は裏だったのかもしれないし、なにが正解なのか、はもはや混沌の中に埋もれていきます。映画「羅生門」にも通じるものがあります。

短編を集めた形ですが、いずれも一人称の語り。よくここまで書き込めたものです。筆力にも驚かされます。そして、辛らつな皮肉、パロディ的な色彩には苦笑い、時に大笑いを誘われます。

それにしても教師のとった行動は…私自身は理解を示したくなっている自分に、ちょっと驚いています。たとえ無力で無意味でも、法律を前提にしなければ社会秩序はなりたたない。でも、無意味さと悲劇・結果との落差の大きさに愕然とする。「自分なら」、何度と無く自問することでしょう。

少年法、マスメディア、学校教育、いじめ、モンスターペアレントといわれるような事実上崩壊した家庭教育…テーマ的に読んでも相当に「面白い」小説です。

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2 コメント

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リクエスト (さらさ)
2008-10-22 14:54:50
「王様のブランチ」か「週間ブックレビュー」
かで、絶賛されていました。
おもしろそうですね。

さっそく、リクエストしてみます♪

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さらささん (ての)
2008-10-22 21:04:47
ほんと、おもしろかったです。
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