「差不多」的オジ生活

中国語の「差不多」という言葉。「だいたいそんなとこだよ」「ま、いいじゃん」と肩の力が抜けるようで好き。

「うさぎドロップ」

2008-04-15 | 
日本の漫画って、ほんとに幅が無限に広く懐が深い。そんな感慨を抱いた漫画がこれ。「うさぎドロップ」(宇仁田ゆみさん著)です。30歳の独身男性「大吉」が、自分の祖父(76歳)が死んだ祭、その祖父の隠し子、6歳の「りん」を引き取ることになり、2人の新生活が始まる。その日々を描いた作品です。

設定は「は?」ですが、個々のエピソードはとてもリアリティにあふれている。保育園の保育時間の問題、仕事と子育ての両立、小学校入学のさいの「名札シール」書きの大変さ…だから大吉の悩みにも、りんちゃんの心の痛み、悲しさにも共感できる。大吉は保育園へのお迎えのために、早く帰宅できる部署へと異動を願い出る。社内のハレーションは「あるある」だし、逆に最近の父親にはこうした選択をする人も多くなったので、新しい部署での父親同士の子育て論議も「あるある」。

大吉は肩に力が入っていない。親戚一同が祖父の葬儀で露骨に厄介者扱いするりんを引き取るときもそうだが、常に「一番辛いのはりんだから」が行動の基本にある。「りんにとって一番いい方法は」と常に行動の基準があって、りんに説明が必要なときでも大人目線、上から目線ではないモノいいとは?と考えている。「親ばか」にならずどこか覚めた目線で、理性と愛情でりんに接している。とても優しく、暖かい関係のように思える。読んでいる側が幸せに感じる。子育て、わが身を振り返って反省させられることしきりです。子どもが幼かったころは私も極力早く帰宅するようにしていましたが、当時はいまほど周囲の理解がなかったなあ、と同時に思い出したりもしています。

りんのために健康でいなければ、と健康管理する大吉。「子育て」を通じて間違いなく自分自身が大きく変化し、「育って」いる。今後の展開がとても楽しみです。ただ、難点を言えばりんの母親のキャラ設定でしょうか。どうもよくわからない。なんで?という感じ。要するに幼いというキャラにしたかったのか?どうも浮いた感じがしています。これまた今後の展開の中で生きたキャラになればよいな、と思います。