「差不多」的オジ生活

中国語の「差不多」という言葉。「だいたいそんなとこだよ」「ま、いいじゃん」と肩の力が抜けるようで好き。

のだめ最終回

2006-12-25 | つれづれ
ついに終わってしまいましたドラマ版「のだめカンタービレ」。最終回はなかなか感動的な終わり方でした。あの「俺様千秋様」が、みんなに感謝という思いをこめて、目を真っ赤にしながら指揮する日本での最後の曲「ベートーベン交響曲7番」。青春の旅立ちという普遍的テーマさえ感じさせる極上のシーンだったと思います。

それにしても漫画を実に忠実にドラマ化したことに敬服。原作のもつおもしろさ、ナンセンスさ、感動などを余すところ無く伝えたと思います。原作では千秋が、指揮するSオケで「もっと続けていたい」と心の中でつぶやく場面。あの場面から作中人物がより一層生き生きと動き出すような感じがあって、のだめの故郷・福岡県大川でののだめと千秋の出会いの場面がひとつのピークになるわけですが、ドラマでは最初から人物がいきいき、という感じがしていました。

ヨーロッパ編では漫画のほうもパワーダウンした感じがあるので、いいところで終わったかな(もっとも、ヨーロッパ編でドラマならどういう役者を配置するか、という興味もあるにはあるのですが)。

この漫画の見事な点の一つは、人間関係を容赦なくリセットするところにあると思います。これまでの漫画の多くだったらミネら学生時代の仲間をもっと引き連れて(それこそ「裏軒パリ支店」など作ってしまって)その人間関係をヨーロッパでも生かしながらというか狭い人間界での「成長」で終始してしまいがち。そのほうが読者も安心するし、ある意味、作者も冒険しないですむわけですから。

それが、ヨーロッパ編ではほとんど日本の学生時代の仲間をきれいに忘れたような感じで新たな世界を構築します(「いぶし銀のモーツアルト」黒木君など一部はもちろん、関係が続きますが)。ミネも裏軒も一度も出てこない。見事です。で、「冒険」がそこそこ成功する。のだめという主人公のパワーもあるのでしょうが、やはり途中から作中人物が生き生きと動き出し、まるでほんとの世界のように活動しているからこそ、こうしたことも可能なのかな、などと思ったりもします。

おっと、ドラマの感想からどんどん離れてしまいました。ま、なにはともあれ、今年のドラマの中では「アタリ」の一本でありました。