「差不多」的オジ生活

中国語の「差不多」という言葉。「だいたいそんなとこだよ」「ま、いいじゃん」と肩の力が抜けるようで好き。

のりたまと煙突

2006-07-09 | 
大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した「転がる香港に苔は生えない」の著者・星野博美さんが日常生活を描いたエッセー「のりたまと煙突」を読みました。

「転がる」は香港に生きる人々の生き生きとした姿と、そこに暮らす著者自身の息吹が伝わってくる名作でした。だから、同じような期待度で読んだのですが、この作品は私には合いませんでした。

こういう視点があるんだ、という驚きがところどころあるのですが、どうも私とは感覚が合わないなあ、という感じが残ってしまう。たとえば、アパート2階に住む男性が猫に首輪をしているからかわいそうだといって、男性の不在を狙って「空き巣」に入り込んで猫を盗んで(いや、誘拐か)きます。「悪いことをした」というようなことを書いているのですが、独善的な行動で不愉快な気がして仕方がありません。

一事が万事、自分の感覚のほうが正しい、という臭いがしてしまう。普通の主婦を嫌っているいかにも最近の働く独身女性、という書き方も気になります。働くことがそんなにえらいことなのか、猫を大切に思うことがそんなにえらいのか、と突っ込みたくなります。

まあ、エッセーって読み手と書き手の感覚が合う合わないが大きいので、ほかの方には面白いのかもしれません。そう。実はあまり猫が好きというタイプではないのです、私は。