「差不多」的オジ生活

中国語の「差不多」という言葉。「だいたいそんなとこだよ」「ま、いいじゃん」と肩の力が抜けるようで好き。

容疑者Xの献身

2006-01-23 | 
東野圭吾さんの「容疑者Xの献身」を読みました。直木賞に選ばれる前に購入していながら、読んでいなくてちょっと残念。でも直木賞、よかったですね。ようやく、という感じ。とうの昔にとっていてまったくおかしくない作家ですものね。基本的に東野さんの作品はどれを読んでも「はずれ」がない。まさに直木賞作家です。

それはさておき、今回の作品。これはいい。昨日、昼間から読み始めて夜までに一気に読み切りました。作者らしいミステリー。トリックが「そうくるか」というまさに盲点をついた作品です。

ストーリーは、高校教師の職に甘んじて暮らす天才数学者・石神が、一方的に思いを寄せる女性のために仕組む完全犯罪トリック。石神の大学時代の友人でやはり物理学の天才・湯川が真実に迫る。その末にみえた真実は…切ない結末が待っています。

文章は東野さんらしい、読みやすさ。主人公・石神と、その才能を敬いながらも、ある事実に気づいてしまい苦悩する友人・湯川の姿がうまく描けています。まあ刑事の動き方など現実にはありえないし、湯川の警察との関わり方にもやや無理を感じますが、そうしたことには目をつぶって、石神と湯川の息詰まるような頭脳戦に注目したいところ。文章の中にさりげなくトリックのヒントが隠されています。

蛇足ですが、作品に出てくる場所があまりに身近な地名だらけで、とても親近感を覚えたのでありました。