★医療ソーシャルワーカーになれるのか?
平成元年の7月の半ばだったと思います。東京都内の病院を紹介していただくことになり、その病院の理事長と婦長さんに会っていただくことになりました。
わたしの下宿は比較的都心に近いところにあったのですが、面接場所はけっこう郊外にあったので、ちょっとした小旅行となりました。
電車を降りてバスに40分くらい揺られてようやく到着です。
緑に囲まれたそれはそれは、空気のきれいなところでした。
わたしはとにかく現場で働き始めて経験をつんでいかなければならないと考えていましたから、とにかく採用していただきたかったのです。
なので、「どんなことを聞かれるのだろう?」と多少緊張していました。
ところが、話が始まってみると、それは面接というような雰囲気ではなくいわゆる雑談でした。
「これでいいのかなぁ?」
と思いつつも楽しく話をして過ごしてしまいました。
そして、小1時間経ったころ、婦長さんがわたしに言いました。
「それで、いつから来る?」
「なんじゃ!」
「働くことになったということ?」
よく考えたらうれしいことなのですが、あまりにも急展開なので事態がつかめないでいました。
「採用していただけるということですか?」
確かな答えがほしかったため、そう確認しました。
「あなたがどういう人かはだいたい聞いています。気持ちがあるのならぜひ来てください。」
と言っていただいたのです。
うれしかったです。
「自分の探していたものにぶち当たったかもしれない。」
そう思いました。
でも、これが苦労のはじまりでもあったのです。
蝉がうるさいくらいに鳴いていた真夏の日の、スタートです。