夢酔(水・・2)

静かな水面に
最後の葉が舞い降り浮かぶ

たった一枚の葉にも
水面が少し波打ち揺れる

時とともに葉が水面の一部になるまで
静かなときを楽しむ

風がやみ
『時が止まった。』
この時を待っていた。

しばらくして
水面に映し出された空に
雲が流れた

『時は止まらない』

静寂を邪魔してやりたくなった。
目の前の冷たい水に指をいれ
反逆者のように静かな水面をかき乱す。

もう静かになるまで待ちたくなかった
時が止まることはないのだから・・・

くるりと方向を変えると
そのまま空を仰いだ。
それはどこまでも大きく青く
白い雲が動き
空の上に風が吹いていることを伝える

水面に映る景色はあまりに小さかったことに気がつく

大きく深呼吸する。

「もういいころかもしれない。」


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