ネズミがネコなった話・６

見本を作ってトイズに送ったら、Ｓさんがクレームに飛んで来ました。

色見本としてミッキーとミニーの写真をもらっていました。

写真の人形は服の色がくすんでいるので、見本は明るい色使いにしました。
Ｓさんは人形の復刻だから服と靴はオリジナルと同じ色にしてくれと言います。
そして、十数万円するというオリジナルの人形を持ってきて見せてくれました。
この人形と同じ色に塗って欲しいというので、オリジナルを見ながら色あわせをしました。

Ｓさんのクレームはもう一つありました。
見本は生地厚０．３ミリの白いセルロイドを使って作りました。
頭は良いけれど、胴体はペコペコでチープな感じがすると言います。
それに立たせようとするとバランスが悪くて倒れてしまいます。
そこで胴体に生地厚０．５ミリの赤いセルロイドを使うことにしました。
厚手のセルロイドを使ったらチープ感はなくなって、
バランスが良くなり自立出来るようになりました。

ミッキーとミニーを作ったこのときの経験から、
後年、ミーコを作るときに着せ替え人形とするため、
生地厚０．５ミリの肌色のセルロイドを発注しました。
厚手のセルロイドを使った効果で、
ミーコはどんな服を着ても着負けすることがありません。