ひよりみ日記

セルロイド人形ミーコと
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飼い主セルやの日常

セルロイド・ドリーム(HP)

夫婦善哉・B級グルメを味わう

2013-08-23 18:34:09 | Weblog

NHK土曜ドラマ「夫婦善哉」は明日午後9時から放送です。
根岸季衣さんのセルロイドの内職シーンはドラマの初めのところに出てきます。

織田作之助の「夫婦善哉」は昭和15年に書かれた小説で、
頼りない若旦那・柳吉と勝ち気な芸者・蝶子の夫婦(めおと)物語です。
「夫婦善哉」は青空文庫で読めます。
http://www.aozora.gr.jp/cards/000040/files/545_33102.html
柳吉は食い道楽ですが一流の店は敬遠して、
今でいうB級グルメの店へ蝶子を連れて行きます。
4月17日午前11時に新大阪駅に着くと、すぐに地下鉄御堂筋線で難波へ行き、
柳吉の真似をしてミーコを自由軒に連れて行きました。


「夫婦善哉」には自由軒のカレーについてこう書かれています。
蝶子は急に空腹を感じ、楽天地横の自由軒で玉子入りのライスカレーを食べた。
「自由軒(ここ)のラ、ラ、ライスカレーはご飯にあんじょうま、ま、ま、まむしてあるよって、うまい」
とかつて柳吉が言った言葉を想い出しながら、
カレーのあとのコーヒーを飲んでいると、いきなり甘い気持が胸に湧わいた。

自由軒の名物玉子入りカレー。
ウースターソースを掛け玉子を混ぜて食べると初めは奇妙な味でしたが、
食べ進むとその美味しさに、織田作之助が好んだ理由がわかります。


カレーに乗っている玉子をかき混ぜる蝶子と柳吉


店内の看板



自由軒でカレーを食べたあとは、法善寺横丁まで歩きました。


法善寺境内の水掛不動にお詣りしました。


食後のデザートは夫婦善哉です。小説にはこう書かれています。
法善寺境内の「めおとぜんざい」へ行った。道頓堀からの通路と千日前からの通路の角に当っているところに
古びた阿多福人形が据えられ、その前に「めおとぜんざい」と書いた赤い大提灯がぶら下っているのを見ると、
しみじみと夫婦で行く店らしかった。


阿多福人形


夫婦善哉の店の前を歩く柳吉と蝶子


おまけに、ぜんざいを註文すると、女夫(めおと)の意味で一人に二杯ずつ持って来た。
碁盤の目の敷畳に腰をかけ、スウスウと高い音を立てて啜(すす)りながら柳吉は言った。
「こ、こ、ここの善哉はなんで、二、二、二杯ずつ持って来よるか知ってるか、知らんやろ。
こら昔何とか大夫ちう浄瑠璃のお師匠はんがひらいた店でな、一杯山盛にするより、
ちょっとずつ二杯にする方が沢山(ぎょうさん)はいってるように見えるやろ、そこをうまいこと考えよったのや」
蝶子は「一人より女夫の方がええいうことでっしゃろ」ぽんと襟を突き上げると肩が大きく揺れた。

夫婦善哉は甘みを控えた今風の味で、大甘党のミーコには物足りないモノでした。


小説に関東煮(かんとうだき)の店として出てくる正弁丹吾亭(しょうべんたんごてい)。
ここで夕飯を食べる予定にしていましたが、この日は定休日でした。


正弁丹吾亭の前にある織田作之助の文学碑 「行き暮れて ここが思案の 善哉かな」

(2013年4月18日記)

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