「逃亡者」は1964年~1967年にTBS系列で放送されたアメリカTV映画です。
主人公のリチャード・キンブルは妻殺しで死刑を宣告され、
護送の途中に列車事故に遭って脱獄し、
髪を染め、名前を変えて、いろいろな職業に就きながら、
ジェラード警部の追跡をかわし、真犯人の片腕の男を探す、
毎回、ヒューマニズムあふれるストーリー展開が面白くて、
当時、高校生だった私は夢中で見ていました。
キンブル役のデビット・ジャンセンの哀愁を帯びた顔は、
女性の母性本能をくすぐるばかりでなく、
高校生だった私も彼のセックスアピールにメロメロでした。
額の広い彼の髪型がかっこよくて、大きくなったら真似をしたいと思ったのですが、
現実は彼以上に髪が後退してしまい、額が広くなりすぎました。
あるエピソードの1シーンが、今でも「逃亡者」の思い出として記憶に残っています。
それは、盗んだ車で逃げる片腕の男をキンブルが追跡するシーンで、
S字カーブが連続する山道を片腕なのに、
巧みなハンドルさばきで車を疾走させるのがとても不思議でした。
番組が放送されていた当時はトヨペット・コロナに乗っていたのですが、
私も片腕の男をまねて片手でハンドル操作をしてみました。
しかし、どう裁いても片手ではハンドルが重くて運転できません。
片腕の男が軽やかなハンドル操作で運転する秘訣がその後、長らく謎でした。
その答えは簡単で、当時のアメリカ大型車はパワーハンドルでした。
あの頃の国産車は高級車以外はパワーハンドルが装備されていなかったので、
私がその不思議が理解できずにずっと頭を悩ませていたのは当然でした。