瓢簞舟の「ちょっと頭に浮かぶ」

こちらでは小説をhttps://kakuyomu.jp/works/16816700427846884378

読書メモ(小松左京 その2)

2024-01-14 13:43:00 | 本の話
精神旅行の装置ですから一度入ったら入りっぱなしの装置なんですけど(だから墓所に見えたわけで)、56世紀人の一人がちょっと装置から出てきて主人公に何が見えたかを教えてくれる。

宇宙の進化について、この星の人たちがどのように考えているのかがわかった。彼らに言わせれば宇宙は神の卵だ、ト。彼らは科学的観相によって、超越は、始元において、はじめからあったのではなくて、これから未来へかけて、あらわれてくるものだ、と考えている。だから神の卵なんですね。

小松左京「小松左京自伝ー実存を求めてー」(日本経済新聞出版社 2008年)

この本の第Ⅰ部は人生を語る。第Ⅱ部は自作を語る。で「神への長い道」について少し触れています。
神父6、7人と話す機会があり「神への長い道」を取り上げて「SF作家として、科学的に宇宙の中に神が存在すると思いますか。あるいはこれから生まれると思いますか」と訊かれたそうです。小松左京は「よくわかりません」と答えたんですけど、ま、小説の中では宇宙は神の卵と書きはしたもののそりゃ正直なところわかりませんよねえ。
この話の流れで「ゴルディアスの結び目」が出てきてますが、あたくしは未読なので読んで感想を書きたくなれば別の機会に書くことにします。

宇宙は神の卵って考えのつづき。
「この宇宙という卵が死ぬことによって誕生した神は、その意志の力によって、またもう一つの、新しい、別の宇宙をつくる」「この宇宙は、そうすることによって、この宇宙であることをのりこえていく。神によって新しくうみ出された宇宙は、またあらたな神の卵で、その進化のはて、またあらたな神をつくり出す。そうやって、宇宙も神もまた、進化していく」

10年ほど前に書いた自分の記事を読むとこの進化の流れに納得してたんでしょうね。でも今はさほど感心しない。っていうか、そもそも進化ということを考えなくなってますね。

だいたい進化なんてことを考えるから主人公は「人類の限界」なんてことを言い出すんだし、10年前のあたくしも自身の閉塞感にため息をついているわけです。袋小路に入ってじたばたするしかなくなるんですよ。

進化なんてあるんですかねえ。
いやいや進化論を否定しているわけじゃないですよ。進化します。進化はしますけどそれは時系列で捉えたときに発生する見方で、時系列を無視して見たときにはそこにあるのはただのヴァリエーションに過ぎないってことです。

あたくし、山田五郎のYou Tubeをちょくちょく見るんですけど、適当に見てるだけでもぼんやりと絵画史が頭に入ってくる。中世からルネッサンス、印象派だのフォービズム、キュビズムだの、なんとなく流れが見えてくる。

話が逸れているようで続いてるんですが、ま、長くなってきたので中途ですが今回はこのへんで。
つづきはまた次回。

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