アコギおやじのあこぎな日々

初老の域に達したアコギおやじ。
日々のアコースティックな雑観

ハートの残骸

2010-05-18 | Weblog
 自宅通勤になったのと同時に、4月から昼食は弁当となった。


 朝、妻が作ってくれたものを会社の食堂で食べている。


 食堂といっても、食事を取るためのテーブルとイスが並んでいるだけの部屋だ。かつては業者さんが入っていてラーメンやらカツ丼やらを注文できたが、だいぶ前に撤退してしまったらしい。


 昼時になると、毎日、弁当組が十人ほど集まってくる。そこからさらに男女別に分かれ、グループごとに世間話をしながら食べている。


 先日、男だけ3人が集まった。


 ふたを開けてビックリ。

 反射的に閉じた。


 隣の若い社員の様子をうかがう。


 若い社員はしたり顔でニヤリ。

 見られた。


 海苔がハート型にくり抜かれ、ご飯の上に敷いてあった=写真。



 「なんだよ、気持ち悪いな。ハートマークはないよな。なっ」


 うまい話題の流し方も見つからず、ともかく言葉を継いでいくしかなかった。

 「迷惑だよな。男同士だから分かるよな」的に、若い社員に同意を求めた。


 若い社員は、さらに、ニンマリ。

 「あのですね。それは、ハートマークじゃあないんですよ」


 その社員も、過去に同じような弁当を持たされた経験があるという。律儀にも、帰宅後に奥さんにハート海苔のお礼を言ったらしい。それに対して、奥さんは気まずそうに詫びてから、彼に真実を話してくれたという。


 このハート型の海苔。実は、ハート型をくり抜いた残骸の海苔。


 くり抜かれたハートは子どもの弁当に行き、残ったほうは、捨てるのももったいないので、だんなの弁当行きになっているのだという。全国的に。



 ハート型をくり抜いたあとの海苔に狼狽し、若い社員に対してちょっと言い訳したことが、恥ずかしくなった。それにしても、「残骸」か。

 つまり、ハートを抜き取った弁当ではないか。


 いまさらハートのこもった弁当もほしくないが、それにしても、家庭での現在のオレの立場を見事に象徴している出来事ではある。

 そういえば、冒頭に「4月から弁当になった」と書いたが、正確には、子どもの弁当のある日には弁当を作ってもらっているのだった。
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