「世界中の人が、いま十五歳の少年の心を持ったなら、世界はどんなに美しくなるのだろう」
原発事故の収束という、極めて大きな課題を抱えた現在の日本。この国にいま必要なのは、国を運営する大人たちが、十五歳の少年のような誠実な心をもつことではないのか、と痛感させられた。
言葉の主は、アルベルト・シュバイツァー。
多くの人が小学生のときに読んだ偉人伝の定番の、あの博士だ。
リサイクルショップに立ち寄った際、店の奥の書棚で「子どもの伝記全集」を見つけた。
ハードカバーの立派な装丁だが、なんと105円。
隣のマンガ本コーナーよりずっと安い。需給の絡みだろうが、現代日本の軽薄文化に閉口しつつも、格安の偉人伝を購入した。
小学生向けの本だが、夢中になってしまった。
いっきに読んだ。
子ども向けの偉人伝だから、脚色はもちろんあるのだろう。しかし、それを差し引いても、こんなにも誠実な人格が、わずか半世紀前の世界には存在していたのか、という驚きが残った。
◇
シュバイツァーの生涯については、今更ここで説明するまでもないだろうが、少年時代やアフリカでのエピソードなど、読んだことがあるはずなのに、意外に忘れていることが多いことに気付かされた。
子どもたちには必ず読ませるべきだ。功を成した人だから、当然のごとく反論や非難をする人はいる。が、心をニュートラルにして、大人も真摯に、自然な態度で、読むべきだと思う。
次の休日に自宅に帰ったら、息子と一緒にもう一度読もうと思っている。
第一に、御用学者、東電役員、官僚など、いわゆる「ムラ社会」のみなさんに、是非、もう一度読んでほしい。十五歳のころのように、心をニュートラルにして。
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