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「第24課 サウル王」『旧約のはなし』浦川和三郎司教

2018-03-15 00:28:40 | 新・旧約聖書まとめ
「第24課 サウル王」『旧約のはなし』浦川和三郎司教

100 サウル、国王に選ばれる

 これまで、イスラエルには国王がいません。神様が自ら王となって、直接にその民を治めてくださるのでした。しかし、民はそれを格別ありがたいとは思わない。
 かれらは、ある日、サムエルのところへきて、「外国にはみな王様があります。私たちにも王様をお立てください」と願いました。国王を立てるなんて、それは神様を見捨てるのも同様だと思い、サムエルは民の願いをあまり喜びません。しかし、いちおう、神様に申し上げますと、神様は彼らの恩知らずの沙汰を面白くないと思われたのですが、しかし、御願いの趣旨はお聞きいれになりました。よって、サムエルは、仰せのままに、ベンヤミン族のサウルを選びこれにオリーブ油を注いで王として立てました。サウルは容姿のすぐれた、体の大きい、腕力の強い、それはそれは立派な青年で、おのずと王者の威厳をそなえていたものでした。サウルも、王となって当時は、よくサムエルの教えに従い、神様のおん戒めを忠実に守りました。したがって、神様にもかわいがられ、何をやってもトントン拍子で成功しました。東にモアブ、アンモンを破り、北にソバを討ち、南にエドムを退け、西に強敵フェリシテを打ち払いました。国民も、はじめて枕を高くして眠ることができ、サウルの名はいよいよ国の内外に響き渡りました。


101 ヨナタス(ヨナタン)の勇敢

 王子のヨナタス(ヨナタン)は、父にも勝った豪傑でした。即位2年の後、サウルは兵3000を選び、2000は自ら率いて、1000はヨナタスに授けて、フェリシテに備えました。それを見たフェリシテは、早速大軍をくりだして押しかけました。幸いイスラエル軍は山の上に陣をとり、その下が深い谷になっているので、敵も容易には近づくことができません。ある朝、ヨナタスは従卒をただひとり連れて、大胆にもその谷をわたり、険しい坂をよじのぼって敵陣に斬り入り、たちどころに20人ほども討ちとりました。フェリシテ兵はにわかに怖気づいて命からがら逃げ出すやら、互いに同志討ちをするやら、上を下へと大騒ぎをやりだしました。サウルはこの機を外さず軍をひっさげて敵を追いうち、思わぬ大勝利を得ました。


102 サウルの罪

 サウルは威名が挙がるにしたがい、そろそろ傲慢の鼻を高め、神様の御戒めに従わず、気まま勝手なことをするようになりました。シナイ半島に国を建てているアマレク人は、前方、ずいぶんイスラエル人を苦しめたものでした。よって、サウルは神様の仰せを承り、これを征伐して大いに勝ちました。しかし、人でも物でも一切滅ぼせという神様のご命令でしたのに、そうは致しません。賤しい民は殺したが、国王は生かしておきました。つまらぬ値打ちのものは滅ぼしたが、美しく肥えた牛や羊はそのまま国へ持ち帰りました。神様はとうとうサウルに見切りをつけ、サムエルに「ベトレヘムのイザイのところへ行け。そのこどものうちに、王を選んでおいたから」と、命じなさいました。サムエルは仰せのままにベトレヘムへ行き、イザイとその子どもを呼びました。年順にしたがい、7人のこどもがかわるがわるサムエルの前にでてきました。しかし、その中には、一人も神様のお選びになったものはいない。時に、末っ子のダヴィドというのは、野に出て羊を牧していました。それを呼ばせてみると、容貌の優れた、いかにも賢そうな青年でした。
「起きて油を注げ。これこそ私が選んだ者である」と、神様のお告げがあったので、サムエルは兄弟たちの前で彼の頭に油を注ぎ、イスラエルの王に選びました。でも、その日から直ちに王の位についたわけではありません。なお、20年ばかりも、サウルの下にあって、心を練り、体を鍛え、王者の道を学んだのであります。


103 ゴリアテ

 そのころ、フェリシテ人は、またもや国の南境に攻め入ってきました。サウルは兵を率いてこれを防ぎ、敵と狭い谷を隔ててにらみ合っていました。すると、フェリシテ方から、身の丈が一丈にも余るという巨漢のゴリアテが出てきました。見ると、青銅のかぶと、鱗綴のよろい、青銅のスネあてに身を固め、長い大きな槍をひっさげ、従卒に盾を持たせて前に立て、のそりのそりと両陣の間に進み、天地にとどろく大音声をあげ、

「さあ、誰でもよいから出てきて俺と勝負をいたせ。俺を殺したら、フェリシテはお前らに降参する。俺が勝ったら、おまえらが、フェリシテの奴隷となるのだ」と挑発しました。イスラエル軍は、彼の声をきいただけで、ブルブルと震えあがり誰一人相手になろうというものがいない。ゴリアテは40日もの間毎日朝夕2回ずつ出てきてイスラエル軍を辱めたものであります。このとき、イザイの子は、長男以下3人まで、サウルに従い、出陣していました。ある日、イザイは、ダヴィドを陣に遣わしてこどもの安否を問わせ、彼らに糧食をも送らせました。ちょうどダヴィドが陣にいるとき、ゴリアテが例のようにやってきました。イスラエル兵は1も2もなく縮みあがり、先を争って陣内へ逃げ込んだ。ダヴィドは歯がゆくてたまらない。自分が行って、奴を打ちとると言いだした。サウルは喜んで召し寄せてみると、まだ20歳前後の青年である。

「おまえはとても相手になれない。あれは若いときから戦場で腕を鍛え上げた勇士だよ」

「ご安心あそばせ。王様、私が父の羊を牧っていますとき、よく獅子やクマが来て羊を盗みます。わたしはいつも追っかけて取り戻したものです。もし、あやつらが、口惜しさに牙をむきだして狂いかかると、私はアゴをつかみ、のどをぐいと一締めして絞め殺すのでした。獅子やクマから、私を御救いくださった神様は、きっと、あのフェリシテの手からも御救いくださいます。」そういって、ダヴィドは王を安堵させ、一本の杖を携えて谷川に下り、つるつるした小石を5つほど拾って袋に入れ、投石機を手にして立ち向かいました。どんな奴がでてくるかと、ゴリアテは瞳を据えてよくよく見てみると、それは顔の赤い、ほんのかわいらしい坊っちゃんだ。

「やい、きさまは、杖で立ち向かうのか。俺をイヌだとでも思っているのだね。今にみろ、きさまの肉を鳥獣の餌食にしてやるから」
頭からバカにしている。ダヴィドは落ち着きはらって答えた。

「おまえは、槍や盾をもって戦うが、俺はな、お前がののしっているイスラエルの神様の御名をもって戦うのだよ」
「生意気な小童め」と、ゴリアテはドスドスと押し寄せてきた。ダヴィドも急いで走せ向かい、袋の石を取り出して投石機にのせ、ゴリアテめがけて投げつけました。狙いたがわず、石はゴリアテの額にポンと当たった。急所を打たれたゴリアテは、ドウとうつ伏せに倒れた。ダヴィドは飛び込んで行って、ゴリアテの刀を引き抜き、難なくその首を打ち落とした。フェリシテ軍はそれを見て肝をつぶし、算を乱して逃げ出したので、イスラエル軍は追撃して非常な大勝利を得ました。


教訓 

 ゴリアテを悪魔とするならば、わたしたちは力の弱い、無経験なダヴィドのようなものです。しかし、全能の神様を後ろ盾にしている。この神様の御名によって、戦うならば、どんな強敵でも難なく打ち倒すことができます。



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