浦川和三郎司教『新約のはなし』1949年、中央出版社
「第1課 私生活の30年」
(1)大天使のお告げと聖母のエリザベト訪問
1
○大天使のお告げを話してください。
△童貞聖マリアは、聖ヨアキムと聖アンナの娘で、ナザレトに住んでおられました。ある日、お祈りしておられますと、大天使ガブリエルが御前に現れて、天主様から救い主の御母に選ばれなさったことを告げて、
「慶たし(めでたし)
聖寵 充ち満てるマリア
主、御身とともにまします、
御身は女のうちにて祝せられる」
と、お祝いの詞をのべました。
2
○このお祝いの詞をきいて、マリア様は何と思われましたか。
△謙遜深いマリア様のことですから、こうしたほめ言葉を聞いて、大層な胸騒ぎを覚えられました。
大天使はつづいて申します
「恐れなさいますな、マリア様 あなたは、神さまの御前に聖寵を得られました。あなたは、一子をお挙げになりましょう。その名をイエズスと付けなさい。それこそ偉大にして最高き者の子と呼ばれ給うでありましょう」
と。
3
○そのとき、マリア様は何と御返答になりましたか。
△そのとき、マリア様は、いたく謙遜して、
「わたしは、主の めしつかい でございます。仰せのとおりに私になりますように」
とお答えになりました。この御答がマリア様の御唇を洩れ出るや、たちまち天主の御子、聖三位の第二位は、聖霊の奇特によって、童貞聖マリアの御胎内にやどらせなさったのであります。
4
○御子の御託身後、マリア様は、誰を御訪問になりましたか。
△御子の後託身後、マリア様は御自分の従姉(いとこ)にあたるエリザベトを御訪問になりました。そのとき、エリザベトは洗者ヨハネを胎内にやどしていたのですが、マリア様の御挨拶を耳にするや、胎内のヨハネは喜びに躍り、エリザベトもまた聖霊に満たされて、声高く叫びました。
「あなたは女のうちにて祝せられ 御胎内の御子も祝せられたもう。 ああ、私は何によって、わが主の御母からお訪ねして頂くことが できたのでしょう。」
と。
マリア様は、エリザベトのほめ言葉に対して、マグニフィカトという立派な讃美歌を歌い、天主様の御恩を感謝せられました。
教訓
聖母が誉れを受けて、それを天主様に捧げ、我が身は「主の めしつかい なり」と謙遜し給うたことは、私たちの模範とすべきところではありませんか。
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