コキュートスの記憶

日々の出来事とか戦果(買い物)とか。
主にガンダムを中心にしています。

閃光の源

2010年04月20日 | 短編
本日は、SDクラブ第14号から
モビルスーツコレクション・ノベルズ Act.7
「閃光の源」でございます。

高機動型ザクは、漸く完成したビームライフルを構える。
放たれたビームは、標的の装甲を苦もなく貫いていく…。
沸き上がる歓声の中、ウエノ技術大尉は、
ムサイ級ホーカムの艦橋で、その情景を目撃して涙した。

母艦に戻った高機動型ザクのパイロット、
マイヤー軍曹を待っていたのは、警報だった。
「敵艦2隻、数機のMSを伴っています」
通信担当のマイラ伍長が緊張した面持ちで報せた。

同僚のロバート軍曹の通信が割り込む。
「先に行くぜ、じゃあな!」
モニターを切り換えると、
ルドルファー中尉の角付きザクが発進する最中だった。
「何故、オレだけ出撃命令がこないんだ!」
再度、ブリッジに問い合わせても、
待機せよ、と融通の利かない言葉が返ってくるのみだった。

ルドルファー中尉の機体は、一条のビームに貫かれた。
圧倒的な火力差にロバート軍曹は焦った。
最中、ムサイ級ハボックを襲わんとするMSが見えた。
ロバートが駆け付けた時には、既に遅かった…。
離脱するジムの背後を取ったロバートはザクマシンガンを掃射。
弾丸は命中したが、信じられないことに効果はなかった…。
振り返り様、ジムはビームサーベルを引き抜いた。
ロバートは身の危険さえ忘れ、ビームの輝きに魅せられた…。

「ハボックが沈んだそうだ…」
フライトデッキの整備員の会話が聞こえてくる。
「マイラ、艦長に代わってくれ」
「いいかげんにしろ!」艦長が怒鳴る。
「盾を買って出たハボックとMS隊の気持ちを無にする気か?」
言い終える前に、艦に衝撃が走る。
敵はホーカムに追い付いたらしい。
「アイツらの行為はムダだったのか…、艦長、行かせてくれ!」
二、三秒考えた末、艦長は折れた。
「判った、勝手にしろ!」

2機の敵MSは、マイヤーの高機動型ザクを発見したらしい。
直線的に迫って来る。ただのザクと、油断したらしい。
マイヤーは銃爪を引いたが、ジムは逃げる素振りも見せなかった。
しかし、これでマイヤーは手の内を晒したことになる。
残機は、ビームを警戒しつつ、背後に回り込もうとした。
MSの性能はあるにしても、歴史の浅い連邦にしては良くやる…。
半ばヤケに、マイヤーは総てのバーニアを全開にする。
捨て身の動きに動揺し、逃げ腰となるジムに狙いは外さなかった。

マイヤーが艦に戻ろうとした時、推進系統がダメになっていた。
途方に暮れ、救難ビーコンを発しながら彼は待った。
やがて、ムサイの艦影が接近し、通信が入る。
マイラ伍長の笑顔が見られそうだ。
しかし、モニターには、
涙で目を潤ませたウエノ技術大尉のアップが映っていた…。

■人物
 トーマス・マイヤー軍曹
高機動型ザク(MS-06R-3S)のテストパイロット。
 セイ・ウエノ技術大尉
高機動型ザク(MS-06R-3S)の開発技術者。
 マイラ伍長
ムサイ級ホーカムの通信士。
 ロバート軍曹
ホーカム所属のパイロット。ザクに搭乗。
 ルドルファー中尉
同上。指揮官用ザクに搭乗。

■機体
 高機動型ザク(MS-06R-3S)
ジオン初のビームライフル搭載機。
 ザク、指揮官用ザク
ホーカム所属の機体。
 ジム
ハボックを沈めた連邦軍の機体。
コメント
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