気まぐれ徒然かすみ草ex

京都に生きて短歌と遊ぶ  近藤かすみの短歌日記
あけぼのの鮭缶ひとつある家に帰らむ鮭の顔ひだり向く 

短歌人10月号 同人のうた

2014-10-07 19:03:01 | 短歌人
土用干しできざるままに畳紙の白大島の麻の葉模様
(青輝翼)

濃みどりの葡萄はびこるわが庭はあるいは緑の檻かとも見ゆ
(関谷啓子)

背を上げて足を下ろせば人並に生きた心地し口紅をさす
(有沢螢)

ささやきが葉の数ほどに響きたる伊勢神宮の古杉に触れる
(鶴田伊津)

坂の上にわが住みし日よあるときは韃靼蕎麦の紅花そよぎ
(佐々木通代)

冷や奴のいただきに盛るかつぶしをはららに散らす扇風機のかぜ
(洞口千恵)

夏の日の正しきものの形して猛然と咲く向日葵の群れ
(高野裕子)

採血の針のあとからあをあをと前世の薔薇がうでにひらきぬ
(岡田幸)

しあはせは推敲を待つ歌があり窓辺の座席にひろげゐるとき
(和田沙都子)

二年目の四人家族は日に一本1000mlの牛乳を空ける
(猪幸絵)

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短歌人10月号、同人1欄より。

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