気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2010-08-02 22:26:55 | 朝日歌壇
自転車で一気に下る沈下橋通学かばん袈裟懸けにして
(神戸市 小田玲子)

古き人古き組合歌を歌う若者よりも若者らしく
(千葉市 愛川弘文)

お祭りに掬いし金魚を校庭の池に放ちて親子は去りぬ
(稚内市 藤林正則)

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一首目。さわやかな歌。沈下橋という言葉の意味を知らなかったが、面白い言葉なので調べてみた。低水位の状態では橋として使えるものの、増水時には水面下に沈んでしまう橋のことをいうらしい。だから一気に下るのだろう。数年前に流行ったゆずの「夏色」という曲を思い出した。「通学かばんを」としてもよい気がする。

二首目。下句「若者よりも若者らしく」に惹かれた。週末は所属結社、短歌人の全国集会に出たが、ここに集まる人たちも、若者よりも若者らしい。歌としては、上句と下句の対称が面白い。

三首目。なんとなくその気持ちわかるなあと思った。金魚であっても生き物を家で飼うことは大変だ。それならば、金魚すくいは単なるゲームとしてそのときを楽しんで、あとは学校の池に放したら、なんとかなるだろう、という考え。子供だって、学校の池に行くと、あのときの金魚に会えるかも知れない。ちょっと安易な感じもして現代的。いろいろ考えされられる歌である。