誤りてキーに触れしや唐突に人は昔を語り始めぬ
春の夜の詞華集(アンソロジー)のそここに白藤のような旧かな咲けり
乗り換えの小さな駅に降りたてる回想と空想のよく似た姉妹
質問と答えがふいに入れ替わる きつねが角を曲がって行った
鳥の群れいっせいに向きを変えるとき裏返さるる一枚の空
乾かせば何もなかったような傘きれいに畳み仕舞い終えたり
(細溝洋子 コントラバス)
************************
良い歌がたくさんあるので、もう少し引用する。
アンソロジーの旧かなを白藤と喩えたり、回想と空想の姉妹を登場させたり、発想がゆたか。
きつねの登場する歌には感心した。何か質問されて答えにつまったとき、「それで?」と質問に質問を返してごまかすことがある。これはきつねの仕業だったんだ。質問返しをしたあと、きつねは澄まして角を曲がったのである。
鳥の群れが向きを変えるときも、スカーフが裏返るように空も裏返っている感じがする。この人の歌をもっと読みたいと思う。
春の夜の詞華集(アンソロジー)のそここに白藤のような旧かな咲けり
乗り換えの小さな駅に降りたてる回想と空想のよく似た姉妹
質問と答えがふいに入れ替わる きつねが角を曲がって行った
鳥の群れいっせいに向きを変えるとき裏返さるる一枚の空
乾かせば何もなかったような傘きれいに畳み仕舞い終えたり
(細溝洋子 コントラバス)
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良い歌がたくさんあるので、もう少し引用する。
アンソロジーの旧かなを白藤と喩えたり、回想と空想の姉妹を登場させたり、発想がゆたか。
きつねの登場する歌には感心した。何か質問されて答えにつまったとき、「それで?」と質問に質問を返してごまかすことがある。これはきつねの仕業だったんだ。質問返しをしたあと、きつねは澄まして角を曲がったのである。
鳥の群れが向きを変えるときも、スカーフが裏返るように空も裏返っている感じがする。この人の歌をもっと読みたいと思う。