気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

蒼水の午後 三好みどり

2006-11-03 21:36:20 | つれづれ
土佐堀川(とさぼり)の潮(うしお)ひかれるま昼間の流れゆかしく人を恋う心

遠き日に会いたるひとにまた会えばオルゴール鳴るわが心にも

やわらかに春は滲みぬ北摂にほつりほつりとアシッドレイン

ロイヤルガスト空待席に土曜日は部活のごとく家族しにいく

二割ほどの差であるらしき蝿とわれ 碧き地球に生(あ)れし遺伝子

(三好みどり 蒼水の午後 砂子屋書房)

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三好みどり第二歌集『蒼水の午後』を読む。
三好さんは阪大薬学部から製薬会社の研究員、学校の化学講師などをされていたキャリアウーマン。短歌にも彼女の科学にたいする思いがくりかえし表れている。
うらやましい限りである。私は、一首目二首目のような何気ない歌に惹かれる。