気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2013-12-08 22:05:15 | 朝日歌壇
にほさんぽしほでざうりを履きなほし履きなほしつつ千歳飴がゆく
(宗像市 巻桔梗)

山宿の炉火あかあかと学徒兵の夫ははじめて戦を語る
(三島市 石井瑞穂)

よき友と永の別れとなりにけりしぐれに濡るる根津の坂道
(東京都 石黒敢)

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一首目。結句「千歳飴がゆく」となっているが、歩いてゆくのは七五三の子供。慣れない和服と草履に千歳飴を持って、歩きにくそうにしている。上句のひらがな表記のつたなさが幼い子供の様子を伝えているようだ。テクニカルな一首。
二首目。今年は、終戦から六十八年になる。学徒兵だった夫はおそらく九十歳近い年齢なのだろう。山宿の炉火のそばで、戦争の体験をはじめて語るという。語りたくない、思い出したくない体験。しかし、いま言わなければと決心なさったのだろうか。話す方も聞く方も緊張している。胸を打たれる一首である。
三首目。何も説明することはない。下句の舞台設定がよい。三句目の「なりにけり」の重々しい言い方が効いている。

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2 コメント

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Unknown (teruo)
2013-12-12 00:51:55
山宿の炉火あかあかと学徒兵の夫ははじめて戦を語る(三島市 石井瑞穂)

しあわせなひとだと私は思いました。
復員後であろうと68年後であろうと語る相手と機会にめぐまれたのですから。
だまったまま逝ったひとたちに、合掌。
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Unknown (かすみ)
2013-12-12 01:22:41
teruoさま

そういう見方もありますね。考えさせられます。
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